果てがない河
空賊編5 『装いと目星』
森の外れに俺は愛機を係留し、その上を布で覆うと、拾ってきた枝や葉をどっさりとその上にかけた。
雑な隠れ蓑だがこれで結構空からは気づかれにくい。
地表からにしても、街からは外れた場所であるため旅人のルートにもなり得ない。
これも俺が空賊として愛機を隠すために学んだ知恵のひとつだ。
顔を布でぐるりと覆い、上着は粗末なものに着替える
しかし背筋は張って歩くのがまたこつの一つで、そうすることで物乞いとは見做されにくくなり、街に入るときに手続きが少し楽になる。
行商人を装うべく、今回は背負い袋も用意した。
あとは俺みたいなやつがあの町に入るには、基本的には小銭が少しあれば良い。
街はその森から小さく見える程度の場所にある。
遠すぎず、近すぎず。
まさに適当な距離感覚だ。
さて、と俺は歩き始めた。日はまだ登り切るまでしばらくかかるだろう。
夕暮れ前には門まで辿り着けるだろうか。
俺はそんなふうに大体の目星を付けた。