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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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あの穏やかな ✕ 椰子の木の下

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 焚火の近くに戻ると、そこは何やら騒がしかった。マルコは木の陰から覗き込むと、風に揺れる炎のそばに、奴隷の男が一人、捕まってロープに巻かれていた。
「やはりコソドロがおったのか」
そう言う大男を、奴隷は怯えた表情で見上げている。
「兄貴、こいつ船の食料を盗んでやがったんでさぁ」
小デブが奴隷の頭を太い薪でぶん殴った。奴隷は左手で頭を押さえてうずくまりながら、右手を前に出して、次の一撃を防御しようとしていた。
「俺様の食い物を盗むとは、大した度胸じゃねえか!」
「こいつ、どうしますかい?」
細身の海賊が聞くと、
「始末するに決まってんだろが」
そう言うと大男は薪割り用の斧を握り、その奴隷の頭へ、彼の腕越しに叩き付けて殺してしまった。
(あぁ、なんてことを)
マルコは見るに堪えなかった。何度も仲間が殺される場面を見てきたが、人が人を殺すなど、マルコはどうしても容認することは出来なかった。しかし今は身を潜めて、この島から脱出するチャンスを待つしかない。小デブと細身の海賊が、その奴隷の死体を森に捨てに行くのをただ見ているしかなかった。

 夕暮れが近付くと、小デブが料理を始めた。鍋に食料をぶち込んで、ただ火にかけているだけである。大男はすでにワインを飲み始め、今晩も酒盛りを始めるようだ。
「コソドロが居ちゃ安心できねえ。洞窟は問題なかったんだろうな」
大男がふと、細身に聞いた。
「え、え、ええ。そりゃぁ大丈夫でやすよ」
大男は黙って、細身の男に顔を近付けて、じっと相手の顔を見た。
★パチン!
突然大男は、細身の男の顔を平手打ちした。
「お前、洞窟を見て来なかったな!」
「嫌でやすよ。兄貴ぃ。ちゃんと確認して来やしたよ」
「信用出来ねえ!」
「おい、またサボってたんじゃないかぁ?」
小デブも怒った表情で言った。
「いいや、俺っちはただ、洞窟を覗いて、誰もいないのを確認して来たって」
「嘘じゃねぇだろうな。もしお宝に何かあったら、ぶっ殺してやる」
(やっぱり洞窟に宝が隠されているのか)
ついにマルコは海賊たちの秘密を知ってしまった。