小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

あの穏やかな ✕ 椰子の木の下

INDEX|12ページ/27ページ|

次のページ前のページ
 

秘密の洞窟



 次の日、日が高く登ってから海賊たちは目を覚ました。この日は風が強く吹き、空は曇っていた。マルコは危険は冒さず、森の中から慎重に海賊たちの行動を観察した。
「さあ、酒を持ってこい」
大男が消えた焚火の前に寝ころんだままで、小デブの男に命令した。
「へい、ワインならいくらでもありやすよ」
そう言うと、岩場の小舟の方へ歩いて行った。
「お前は洞窟を確認して来い」
「え? またですかい? 誰もいねえってのに、大丈夫ですよ」
「うるせえ! 毎日確認することになってんだ、馬鹿野郎!」
「俺らの他に誰が盗みに来るってんですかい?」
そう言うと、細身の男は、森の中に通じる獣道をかき分けながら消えていった。そしてそこに一人残った大男は、焦げた肉の残りをかじった。
(洞窟?)
マルコは考えた。彼らはこんな小島で何をしているのか。
(そこに宝を隠しているんじゃないか? 奴らはその見張り役・・・)
そしてこっそりと、森に入って行った男の後を追うことにした。

 細身の男は森をすばやく移動した。マルコもその後を走って追いかけたが、物音を聞かれるとまずい。幸いこの日、森は風の音に包まれており、藪が体に擦れる音でさえ掻き消してくれている。そして細身の海賊は周りの様子など全く気にせず、どんどん進んで行った。しかし十五分ほど進んだところで、マルコはその男を見失ってしまった。
(どこに行ってしまったんだ?)
 マルコは耳を澄ました。しかしその男の足取りを確認することは出来ない。
(こっちに気付いて、隠れているのか?)
マルコは慎重にその場に待機し、様子を伺いながら暫く待った。
「はぁ~!」
遠くで男の声が聞こえた。その方向を確認すると、あの細身の男が立ち上がる所だった。
(あんなところで何をしてたんだ?)
そしてその男は元来た浜辺の方に、小走りに戻って行った。
 マルコはそれを見送って、姿が見えなくなってから、その男が立ち上がった場所に近付いた。すると辺りは岩が散乱する少し開けた空間になっていた。そこをマルコは椰子の殻の草履で歩いて行ったが、あまりに足場が悪く、岩を上り下りするのが困難だった。
(こんなところに洞窟なんてなさそうだ。あの海賊、大男の指示を無視して、ここでサボってたのかな)
そう考えて浜辺に戻ることにした。