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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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あの穏やかな ✕ 椰子の木の下

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「ぐ、ぐ、ぐ、・・・、ぷは~うめぇ」
ひときわ大きな男が、ボトルを咥えてワインを流し込んでいる。
「そんなに飲んでちゃ、昼まで起き上がれねえっすよ」
細身の男が笑いながら言うと、
「ひゃひゃひゃ、どうせ船はしばらく戻っちゃ来ねえさ」
大男はさらに大笑いしながら言った。
「それもそうっすね。じゃ俺っちも飲んじゃおうっと」
そして細身の男が、もう一本ボトルの栓を開けると、
「おい、ワシにも飲ませてくれよ」
もう一人の小デブが言った。
「何言ってんだ。お前、あの小舟の床下に、たんまり隠してるの知ってるぞ」
「なんだ、バレてたのか、ギャッハッハッハハ」
マルコは暗闇から、その話を聞いていた。
(小舟? どこかに船を隠してるのか? これはチャンスだ)
 海賊たちは無防備にも大酒を食らい。焚火の周りで寝てしまった。その隙にマルコは、遠回りして海辺に向かい、足跡を残さないように波打ち際に入って移動し、月明かりを頼りに小舟を探すと、岩場の隙間に全長六メートルほどの、手漕ぎ船を見付けることが出来た。
(ああ、ダメだ。この船じゃ、一人で海を渡れない)
それは、一人でオールを漕ぐには大きすぎて、大洋に出るにはマストが装備されていない。つまり、ただの上陸用のボートだったのだ。
(こんな船で上陸して来たってことは、もっと大きな船が迎えに来るはずだ。さっきの海賊もそう言ってたな)
いつまた海賊船がやって来るか分からない。それまでに、何か作戦を考えるしかなかった。
 マルコはその小舟に乗り込み、何か役に立ちそうなものがないか、船内を物色した。樽に入れられた食糧の外、隠されたワインのボトルもあった。しかし、マルコはそれらに手を付けず、武器になるものを探した。しかし役に立ちそうなものは何もなく、諦めて静かに森の中に戻って行った。