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人生の織物

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人が優しくなるとき その1



四月に白内障二度目の左眼を手術した。去年の同じころ右眼の手術したときは独りで入院し、独りで退院した。帰るときは雨が降っていたのでタクシーに乗った。自宅は病院からは近いのでタクシーの運転手は機嫌が悪いからなるべく乗りたくないのだが仕方がなかった。

今回は友人が退院の時に迎えに行くと言ってくれた。
去年の今ごろは友達の旦那さんは病気で大変なときであった。友人は悲嘆に暮れていたのでかなりの頻度で電話もし、少々憤慨する言葉を言われても受け入れていた。

そのことがうれしかったのか、今回私の手術の際にはとても優しくしてくれた。八日後の検診の時も病院まで同伴し帰るまで待っていて一緒に自宅まで来てくれた。私は他人にそれほど優しくされた経験がないので、人に頼る気持ちがなくむしろ驚いていた。
何かあったとき傍に誰かが居てくれるのは安心していられるものだと思った。

作品名:人生の織物 作家名:笹峰霧子