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人生の織物

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その2


彼女はこれまで傷つくような言葉を平然と発していたが、今回は少々の失言はあっても優しさが優先していた。
人が虚勢を張って突っかかるのはどんな時なんだろうと考えてしまった。
親しい友人は傷つけられることはないだろうと油断していると突然やられるから咄嗟に言い返せない私は後でそのことを思い出しむかむかするのが常だった。

そういうタイプの友人は二割しかいないが、その内の一人がしょっちゅう話す彼女なので、しばらく遠慮したいと思いつつ又何度も話すことになる。
密に付き合うと思いつくままに遠慮なく物を言うのでそういうことになるのだろうか。

自分で言うのも何だが、私はそういうことは言わないと思っている。自分が言われて嫌なことは相手にも言わないことにしているからだ。

夫がかなり若いとき、他人のプライバシーに侵入するのが一番いけない事だと言ったことをずっと守ってきた。特に性格とか容姿などどうしようもないことをストレートに言われると我慢するしかないのである。

夫も私もお互いのプライバシーに入って行き嫌な思いをしたことは一切なかったように思う。お互いが相手の親に対しては尊敬の念を抱いていたので、その点においてのトラブルもなかった。よくけんかをしていたが、思い起こせばどんな理由でしていたのか今はもう忘れてしまった。


作品名:人生の織物 作家名:笹峰霧子