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人生の織物

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その2


昨日は予約していた整体の治療を終えた帰りに、町でかなり名の知れたお食事処で天婦羅そばを食べた。隣の席には先に来ていた中高年の女性二人が邪魔にならない程度の声で盛んに話していた。

ちらっと見遣ると、小奇麗な服装をし、使い勝手の良さそうなバッグが横に置いてある。あまり見るのも失礼なので二度見はしなかったが、私は心の中でそのバッグのことを色々考えていた。

色が黒色で、物を入れやすく開け口が広くて四角みたいな形をしている。もう一人のバッグも黒で、しっかりとした革のようで立てて置いてもぐらっとしないのが良い。どちらのバッグも私好みで、私もそんなバッグがあれば買いたいなと思った。

年なりの風貌であるがかなり豊かな暮らしをしているご婦人のようだ。
私は地元で俳句の会に入っていて、お年を召した先輩方はいくらお洒落を尽くしても隣席の婦人たちのようには見えないなと思った。

じゃあ、この人たちはどういう人なのだろう。町でこういう感じの人は案外生命保険の勧誘をしている人が多かった。保険を勧誘するにはそれなりの身なりをして訪問するわけだから小奇麗にして感じよくあらねばならないからだ。

作品名:人生の織物 作家名:笹峰霧子