夢を見る意義~一期一会と孤独~
「自分の人生を象徴しているようで、悲しいと思ってはいけない」
と感じていた。
だから、夢を見ていて、
「一番怖い夢は何か?」
と聞かれて、答えるのは、
「もう一人の自分が出てくることだ」
というのであった。
夢の中の登場人物は、実に曖昧なものだ。目が覚めてくると、覚えているという感覚が薄れていく。しかし、
「もう一人の自分」
というのは、センセーショナルに覚えているのだ。
しかも、もう一人の自分を見たと感じたその瞬間に、目が覚めたのだということを感じている。
つまり、もう一人の自分が夢では、主役なのだ。
そして、もう一つ考えるのは、
「もう一人の自分は、夢のすべてに出てきていて、目が覚める時の起爆剤として、もう一人の自分が活躍するのではないか?」
という思いである。
こちらも、
「夢を毎日見ているのに、覚えていないというだけのことではないか?」
という思いと似ているのではないかと思うのだった。
夢が一期一会だというのであれば、孤独が自分の夢のテーマではないだろうか。
それは、夢というものの共通のテーマであり、忘れてはいけないものではないかと考える。
そして、坂崎は、今日もまた、夢を見ることになるのであろう……。
( 完 )
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作品名:夢を見る意義~一期一会と孤独~ 作家名:森本晃次