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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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あれから12年―3

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 日曜の朝、目覚めた時、「まだ、明日一日、休みがある」とうれしかった。
カッカした頭を冷やすには絶好のチャンスだ。このまましばらく、冷やしていたい。

 電車の運行が少しずつ回復していた。
いつもは、電車に乗って病院に行くのは気が進まないが、あの時は、病院でもどこでも、電車に乗れれば嬉しい気持ちだった。

 午前中、歩いてスーパーに行った。
館内は節電のため、照明を落としていて、薄暗かった。
それに何となく寒かった。
納豆が売り切れていた。
棚には、「お一人様、1パックでお願いします」と張り紙があった。私が来る前に、買い占めた客がいたのだろう。

 昼過ぎ、図書館に出かけた。
図書館にはいつもと同じぐらい人がいた。
しかし、いつもより静かだった。
DVDコーナーで荻上直子監督の新作『トイレット』を借りた。
作品名:あれから12年―3 作家名:ヤブ田玄白