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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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あれから12年―2

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 翌日、午前中の外来診療のとき、院内アナウンスがあった。
「ただいま、電子カルテのサーバがダウンしました。職員の皆様は、ただちにログアウトして、紙運用に切り替えて下さい」
電子カルテは苦手な私だが、苦手なりに慣れてしまった。
急に電子カルテを取り上げられたら、手も足も出ない。
患者さんのデータがわからないからだ。

 ふだんから頼りがいのある診療ではないが、それ以上に頼りない診療になった。
しょっちゅう来ている人は、顔を見れば、薬など診療内容が頭に入っているが、たまにしか来ない人は、〈誰だっけ?〉ということになる。
「失礼ですけど、お薬は何飲んでましたかねえ?」と聞くと、
「ええ、たしか、黄色のタマを、一日三回だったようです」と答える。
「ああ、そうでしたね。わかりました」などと、とても危なっかしかった。
電子カルテダウンの原因も「計画停電」に関係するらしい。
病院の「自家発電」に切り替わる時にうまくいかなくて、サーバがダウンしたようだった。
作品名:あれから12年―2 作家名:ヤブ田玄白