Whiteout Christmas
白い世界に、1台のヴィッツと人間1人。
神サマに創造される前の世界は意外とこんなものなのかもとも思える。
一身上の都合により今までの世界は無かった事にして、これから新しく創り直そうと思ったんだ、とか。
そして君はめでたく、新しい世界のアダムとなりました。でもうっかりイヴ用意し損ねたんで、生憎この先創れないんだ、ゴメンね。みたいな。
……いや、それどちらかといえばこの車が、いつもの世界から置き去りにされたと考える方が正しいのか。
気分はミニチュアの街から摘み出されて、部屋の隅に投げ捨てられたミニカー。
遊んでいた主に既に飽きられ見捨てられ忘れられ、無様に引っ繰り返っている事すら知らず、愚直に前へ進んでいる事を夢想して車輪を空回す。いつしか動力も切れ、埃を被って朽ちていく。
作品名:Whiteout Christmas 作家名:加茂 七瀬