Whiteout Christmas
「……っていやいやいや、どっちかっていうとこれ遭難ですから。」
自分で自分につっこみながら、それでも少し不安で、助手席に放置していたケータイを取り上げる。
『ケーキ1個買ってくるのに何時間かかってるんだっつーの』
「外見てりゃ分かるだろ?もう少しで着くから。」
ずいぶんと不機嫌なようだったが、とりあえずは安心した。
この世界は、少なくとも独りではないみたいだった。
気付けば、ラジオはとっくに暢気なクリスマスソング特集を流していた。
カーナビを信じれば、家まであと5分程。電波が繋がるのなら、そのうち世界も生き返るだろう。
今夜はホワイトアウトクリスマス。
どうか、サンタクロースが遭難しませんように。
作品名:Whiteout Christmas 作家名:加茂 七瀬