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Whiteout Christmas

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12月24日。先週末から降り始めた雪は一向に止むことがなく、むしろ際限なくその勢いを増している。
道路の外に広がっている筈の住宅街は既に白く塗りつぶされ、今は前を走る車のライトと、申し訳程度に車道と歩道を分けているポールだけが辛うじて道路を外れていないことを教えてくれている。
積雪、ざっと40cm。文句なしのホワイトクリスマス確定だった。
「いや、それにしてもこれはやり過ぎでない?」
思わず呟いて、さらにアクセルを緩める。風も本格的に強くなってきたようで、車体が軽く横に揺れた。

大雪暴風雪波浪高潮警報
なだれ着氷低温雷注意報

ついさっき、ラジオの天気予報から発表された警報と注意報のフルコース。
ずっとこの雪国に住んではいるが、さすがに初めて聞く長さだった。

『……上空にはこの冬最大の寒気が流れ込んでおり、今夜から明日の明け方にかけて激しい吹雪となるでしょう。今のところ交通機関に運休はありませんが、今後著しい遅れが生じることが予想されます。また、今後さらに激しく吹雪くと予想されますので、お出かけ中の方は……』

カーラジオから流れる天気予報は、まだ避難勧告めいた内容を繰り返し流し続けている。
これが東京だったら今頃大混乱だろう。確か積雪3cmで機能麻痺だっけ?
それに比べてこっちは40cm超で、さらにこの吹雪でも遅れはしても運休は無し。
やっぱりタフさって素晴しい。

そうこうしているうちに、ついに吹雪は本気を出してきたようで、気がつけば前を走っていた車のライトも白く塗りつぶされて判らなくなった。

前後左右、360°ホワイトアウト。

外は、雪が降っているというより白い壁で、急に世界がこの車だけになったみたいな錯覚すら感じる。
地面さえ壁と同化して、本当に前に進んでいるのかすら判らない。
何時までも何処までも走っても白一色で、むしろ車を降りれば雪なんて降ってなくて、ただ何も無い、距離すら高さすら解らないほどの白が広がっているだけなのかも……
作品名:Whiteout Christmas 作家名:加茂 七瀬