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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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池の外の惨めな鯉

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「伊織君にとっても、ボクはそうなの?」
「何言ってんだ? そんなわけねぇだろ」
「あ、そうだよね」
やはりストレートにものを言う桐生伊織に、和彦は少し困惑しながら話していた。そして和彦は話題を変えようとした。
「錦鯉って高いの?」
「あ、そいつらか?」
伊織は池を見て言った。
「さあ、ずっと前からいるからよく分かんねえな」
「20匹ぐらいいるよね。エサは毎日やるものなの?」
「それも知らねえよ。どっかにエサあったかな?」
伊織は立ち上がって、家の奥に入っていった。和彦は暫く待った。やがて彼は煎餅の入った袋を持って戻ってきた。そして煎餅を袋から取り出し、かじりながら細かく割って、その破片を池に投げ入れた。するバシャバシャバシャと一斉に鯉がエサを求めて暴れ出した。
「ははは! こいつら節操ねえな」
伊織は笑って言った。
「うわ~やっぱり苦手だな。こんだけいっぺんに来ると怖いよ」
「こいつらまで殺さないでくれよ」
伊織はさらっと言ったが、和彦は驚いて彼の顔を見た。
(え? 学校の鯉、ボクが殺したと思ってるのか?)「なんでそんなこと言うんだよ」
「お前、鯉が嫌いだって言ってただろ。あれ、まさかお前が殺ったんじゃないかって」
「そんなことするはずないでしょ」
和彦は憤慨して、呆れたように言った。
「そうか? お前があんなこと言った後すぐだったし、お前が殺ったんだって思ってた」
「なんてこと言うんだ! ボクがそんなことするはずないだろ」
今度は声を荒げて言った。そうでもしないと伊織はこの話題をやめそうになかったから。それに和彦は、伊織こそ怪しいと疑っていたので、罪を自分に転嫁されそうになるのを警戒した。
「怒んなよ、そんなふうに感じたって話で・・・」
「じゃ、内田君の事故は、君の仕業だったのか?」
和彦がそんなふうに言い返すと、
「・・・お前こそ何言うんだよ。俺が人殺しだって言う気か?」