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覚悟の証明

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「目が見えない分、、他の部分が違う動物と比べて、飛躍的に優れているという感覚は、コウモリの特徴である。目が見えないという弱点を補うために、超音波を出し、その反射で自分の位置を確認できる」
 という画期的なことである、
 コウモリのような動物であったり、爬虫類などの動物のように、障害があったり、下等動物という印象のあるものは、再生能力が強かったりする。
 そういう意味で、昔から魔女が何かの薬を煎じているという絵を見たことが何度もあったが、それは、魔法の薬を編み出しているという、魔女にいわゆる、
「薬品工場」
 で作られているものに煎じられているものとして、ヤモリやヘビ、トカゲなどの爬虫類であったり、コウモリのような動物を魔女のクスリとして作っていたりする。
 不老長寿のクスリだという話もあり、爬虫類とすれば、例えば、トカゲのように、
「尻尾をちょん切っても、また生えてくる」
 というような、下等動物であるがゆえに、その能力は人間が羨ましく思うほど、大したものである。
 さらにコウモリを使うというのも、きっと人間にはない、超音波を使うということから考えられたことではないだろうか。
 そもそも、人知れずに生活をしている魔女なので、暗い洞窟の中にいるコウモリを、いつも見ているという感覚もあってのことなのかも知れない。
 超能力という意味で、昔からコウモリの研究も行われていた。潜水艦のソナーなどもその原理を利用したものであろう。
 さらに超音波の反射と、ドップラー効果を利用した、速度を図る意味で今では当たり喘のように使われているスピードガンなども、コウモリの生態を利用したものである。
 大学の研究室の実験では、かなりの恐ろしいことも行われていた。もちろん、すべてが動物実験なのだが、電気ショックを使ったもの、毒ガスの威力であったり、内臓の耐久性を知るために、気圧コントロールができる部屋を用意し、気圧を下げ続けることで、動物がどうなっていくかという実験であったり、さらには、絶対零度の場所に身体の一部を埋め込んで、表に出したところでその一部をハンマーで叩いてみるなどと言った実験だ。
 科学的なことを理解している人は、この実験でどのような結末が待っているかということ。
 そして、それがどれほど気持ち悪い結末を迎えることになるかということを分かっているのかということ。
 さらには、このことが実際に、昔人間が人間に行っていたと言われている実験であるということ。
 最後の一つは、証拠が残っているわけではないので、何とも言えないが、生き証人がいたという話もあり、その人の証言で、映画になったこともあった。
 研究員である覚悟を持った時のことである。
 この映画の存在を覚悟を持つ前から知っていたが、あまりにも恐ろしいことであるので、実際に怖くてみることはできなかった。
 しかし、自分が研究者として、目的那人類の反映という、少しオーバーで漠然としているので、ほとんど大義名分でしかないが、それでも、
「研究するということは、覚悟が絶対に必要なことである」
 という思いから、この映画を視聴しようと思ったのだった。
 レンタルビデオやでもなかなか置いているところは少なく、何とか探し当てて、その映画を見てみた。
「こんな恐ろしいことがこの世にあってもいいのか?」
 というほどの内容で、驚愕したのも、無理もないことだった。
 この映画の加害者は、日本軍の兵士で、被害者は、中国人や朝鮮人、ロシア人などと言った
「捕虜」
 であった。
 本来なら、ハーグ陸戦協定などで、禁止されている捕虜の虐待に当たるのだろう。虐待という言葉で表現するには、少し違うような気がするくらいであった。
 この部隊の存在を知っている人は知っているのだろうが、通称、
「七三一部隊」
 という。
 基本的には関東軍が、外国で兵役についている将兵が、水の合わない外国で、身体に合う水の提供であったり、外国の病気、当時で言えば、マラリアやコレラ、さらには脚気に罹らないようにしたり、罹った時の治療を行うのが、主たる目的なのだろうが、実際にやっていたことは、
「生物兵器や、化学兵器の開発」
 であり、それを名目として、もう一つの重要な目的は、
「捕虜を使っての人体実験」
 だったのだ。
 先ほどの実験に関しては、事実として伝わっていて、すべて人体実験が行われたこととして、映画が製作されている。
 ナチスドイツのアウシュビッツなどという「ホロコースト」という事件があったが、あちらは、一種の、
「一つの民族の撃滅」
 という目的があった。
 これはこれで罪が大きいのだろうが、日本軍は、生物、化学兵器を開発するためであり、さらにその人体実験を行ったという意味で、果たしてホロコーストとどっちが重い罪になるというのだろうか?
 しかも、ナチスドイツと違って、ハルビンにあった研究所は、敗戦が決まった時に、
「すべての証拠を隠滅せよ」
 という絶対命令が出たのだった。
 研究所の中にあった、無数のホルマリン漬けの臓器であったり、膨大な研究資料、さらには、捕虜の始末。
「一人たりとも生かしておいてはいけない」
 という至上命令があったのだ。
 だがら、日本がポツダム宣言を受諾した時に入ってきた占領軍には、部隊の存在は、跡形もなく消えていた。
 だが、問題はこれだけではない。
 占領軍である当時のアメリカ政府は、部隊の上層部と、
「研究資料の提供と、研究員の身柄を引き渡せば、極東軍事裁判で罪には問わない」
 という密約を交わし、この部隊にいた連中が裁かれることはなかった。
 むしろ、彼らは日本で薬品会社を立ち上げ、その発展に寄与したという事実もあるくらいで、その時の人体実験が功を奏したと言えるのではないだろうか。
 時は戦時中で、占領地の虐殺などが横行していた時代。善悪の感覚もマヒしていたことだろう。それだけ今の日本人から考えれば、想像を絶するような、とんでもない時代だったに違いない。
 松前は基本的に外人が嫌いだった。
 特にいまだに戦時中のことをネチネチと言っている連中であったり、ここ十数年くらいで発展してきた東南アジアの若い連中の横柄な態度を見ていると、腹立たしかった。しかも、そんな連中を受け入れることで、経済を活性化させようなどという政府にも腹が立っていた。
「日本の治安を何だと思っているんだ」
 とばかりである。
 何が腹が立つかといって、
「外人を雇えば、国から補助金が下りる」
 というものだ。
 日本人にも失業者がいるというのに、外人どもを雇っていて、今では都会のコンビニ、ファストフードやファミレスなど、片言しか通じない連中ばかりがいるではないか。
 ここ最近では、世界的なパンデミックのおかげで、外人どもの姿をあまり見なくなったのはよかったと思う。旅行者と名乗る連中にロクな連中がいないと思えるからだった。
 まあ、そんな偏見を差し引いても、関東軍のあの部隊のやったことはひどいものだ。戦時中ということであっても、許されないことだろう。だが、問題はそこではない。
「人間という動物は、どこまで冷酷になれるか?」
作品名:覚悟の証明 作家名:森本晃次