愛情
その３
世の中には子供がいない人も五万といる。彼らに孫がいないのは当然のことだ。私に孫が居なかったころ、友人が二歳未満の孫の写真を送ってきたことがある。そのとき私はそれを見て何の感情も湧かず写真に対するリアクションをしなかった気がする。
数年経って私にも一人女の孫ができた。
その頃我家では夫が脳梗塞を患って療養中だった。穏やかだった夫は病気の為に豹変し、まるで猛獣のような目付きや声に変わり、正常なときとは全く別の人格になっていた。
遠くの地方に住む娘に孫が生まれたのはそれからしばらく経ってからだ。私は産後の娘がヒステリックになっているとの報を受けて飛んで行った。娘は私が行って赤ん坊の世話をしたり家事をするようになって次第に落ち着いてきた。夫も喜んでいたので快く送り出してくれた。
私がインターネットを学びSNSでネット上の人たちとの繋がりを持ったのもその頃だった。昼間は孫を連れて散歩をし、夕食の支度をしてからレンタルしている宿に帰る日々を過ごした。あの頃はとても楽しかった記憶がある。
その後娘が離婚して他県に移り住むようになると、私も滞在して赤子の世話をした。時々娘から自宅へ帰るように促されしぶしぶ怖い夫のいる我が家へ帰ったものだ。