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愛情

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その2


私には娘が二人と次女の産んだ孫がひとりいる。
反面子供が無い友人も数人いて、彼女らに子や孫の話をしたことはないが、先方から話を振ってくる人もいる。だが、それはあくまで私に対するサービスでありその気持ちは有難く思う。

私が或る友人に子供の心配事を話したことがあった。その友人は、子供がいなくて良かったわと言っていた。彼女の本心だったと思う。子供が居るから幸せとは思わないが、身の回りに若い力が存在しているというのは安心なもので、自分が大事にしてきたものを受け継いでくれる跡継ぎがいるとそれらを失う心配がない。

聞いたところによると、お金が沢山あっても譲る者がいないと嘆いている人がいるそうだ。何の為に切り詰めて生活をしてお金を貯めて来たのだろうと、老いた今にして思うのだろうか。もし長生きをして頼るのは介護施設だから、お金はそこへ流れていくのだろう。

末期に入院した病院を訪ねて悲しんでくれる者がいるだろうか、そのことを考えれば苦労をして山あり谷ありのこれまでの人生を漕いできたことに意味があったのかもしれない。


作品名:愛情 作家名:笹峰霧子