いたちごっこの、モグラ叩き
しかし、それだけで終わるわけではなかった。
これからも、叩いては消え、また現れて、さらに叩いては消えという世界を、ずっと紡いでいくことになるのかと思うと、やり切れない気持ちになるのだが、警察の方で、それだけたくさんのもぐら叩きに耐えられるのかどうか、もぐら叩きも、いたちごっこになってしまっては、本末転倒だと言ってもいいだろう。
今回の事件が、解決されたことで、検挙率が上がるわけではない。そもそも、事件にもなっていなかったことだ。そして、公安に協力したに過ぎない。ただこれらの一つ一つの努力が、
「いたちごっこをもぐら叩きくらいにしてくれるのではないか?」
と感じさせた。
鶴岡は、今日も、元気にバスを運転するのだった……。
( 完 )
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作品名:いたちごっこの、モグラ叩き 作家名:森本晃次