すこし気が早いかもしれないが・・・
ごくたまにではあるが、急に休みが出来ると、フラッと軽井沢に出かけることがある。
古くは文筆業、今は、政治家、芸能人などのメッカで、私などの及ぶところではないが、長野新幹線に乗ると、アッという間に着くので、とても便利なところだ。
フラッと出かけるといっても、軽井沢に別荘を持っているわけではない。
退職金を貰ったら買えるかもしれないが、ちょっと無理だろう。
その前に家をリフォームしなければならないし、顔もリフォームする必要がある。
私が利用するのは、知り合いの安いペンションだ。
住み心地はよくないが、周りの環境はすばらしい。
空気はおいしいし、夜もよく眠れる。
めったに行かないのだが、しょっちゅう行ってるように見えるのだろうか。
看護師さんなどから時々、
「先生は軽井沢で何をなさるのですか?」と聞かれる。
私が軽井沢に行くのは、特別な理由があるわけではない。
軽井沢に洗濯に行くのでもなければ、芝刈りに行くのでもない。
休養に行くのだ。
「そうですね。何をするということもありませんね。何もしないために行くようなものです」と答える。
しかし、私はボーっとしているように見えても、ただボーっとしているわけではない。
ボーっとしながら、次の作品のアイディアが沸いて来る瞬間を待っているのだ。
しかし、その瞬間がなかなかこないこともある。
あまり長い間待ち続けると、家に帰れなくなるので、適当に切り上げている。
作品名:すこし気が早いかもしれないが・・・ 作家名:ヤブ田玄白