すこし気が早いかもしれないが・・・
帰宅するとまた行きたくなるのだが、しょっちゅう行くわけにいかない。
軽井沢以外の身近な場所でボーっとする必要がある。
研究の結果、自宅の小さな庭先に、古い折りたたみ簡易長椅子を置いて、その上に仰向けに寝転がることにした。
仰向けに寝て、空を見上げることが重要なポイントである。うつ伏せになると、何も見えないし、息苦しくなる。
木の葉がサワサワ擦れる音がして、青い空に白い雲がたなびいていると、それだけで軽井沢にいるような気分になる。
ところが、今年の正月は寒くて、庭に出ることができなかった。
私が風邪をひいたら、大勢の人々に迷惑がかかるだろう。
私は「ハンペンのバター焼き」をさかなに一杯飲んでいた。
猫がそばに来たので、聞いてみた。
「来年の正月は軽井沢に行こうか?」
猫はハンペンのほうに関心があるらしく、来年のことはどうでもいいようだった。
作品名:すこし気が早いかもしれないが・・・ 作家名:ヤブ田玄白