めでたい新年のはずだが
猫は今朝と同じ顔で待っていた。
猫に年賀状は来てなかったが、私あてに、かかりつけの動物病院から届いていた。
最近、肝機能障害(正式には肝リピドーシスというそうだ。)で人間以上の高い薬代を払っているせいだろう。
「どうぞお大事に」という言葉が添えられていた。
さて、今年はどんな人から来ているだろうか? ワクワクしながら、一枚一枚めくった。
しかし、どうも変わり映えしない。どこかで見た名前ばかりである。(ほとんど1年前に見た名前だ)
たまには初めての人や知らない人からのハガキが来ていないか、と思ったが、変わったのは虎の絵柄が兎に変わったことぐらいだろう。
添え書きも「お元気ですか」「お変わりありませんか」「今年もよろしく」が続いている。
そう言われれば、「元気でいるにきまってるだろう」「お変わりなんかないですよ」と反発する人もいるかもしれない。
しかし私の場合は違う。
そう聞かれれば考え込んでしまう。
つい「最近は元気がないです」「腰の手術をしましたが、後遺症に苦しんでいます」「今年一年無事に過ごせるか自信がありません」などと本音を漏らしてしまう恐れもある。(面倒なので、いちいち反論するつもりはないが)
作品名:めでたい新年のはずだが 作家名:ヤブ田玄白