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無限への結論

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「それも違うわ。確かにタイムマシンというものが運命を狂わせたのには間違いはないんだけど、なるべくしてなったことだと私は思っているの。これが運命だとすれば、それを神妙に受け入れるのも、人間なんじゃないかって思うのよ」
 とりえは言った。
「じゃあ、りえさんは、この状況を受け入れようと思っているの?」
「ええ、私はそう思っているわ。でも、あなたに強制はできない。それも私の本心でもあるの」
 と言って、考え込んでいた。
 タイムマシンを作ったことが、このような形の人生のねじれを作ってしまったということか。
 タイムマシンが、時間の捻じれを作り出すのだとすれば、最初に考えていたことは、
「すべてのことは一つの結論しか生み出さない」
 という常識が、違っているのだということを、こういう形で証明している。
 前の世界では、近親相姦や、親子でも結婚などあり得ることではなかったはずで、タブーだったはずだ。だが、その理由がなぜなのか、ハッキリと分かっているわけではない。昔から言われているというだけで、都市伝説的に、
「身体に障害を持った子供が生まれる」
 という説があるからであったが、それが証明されているわけではない。
 そういう意味では、まったくの根も葉もない話を人類の歴史上ずっと信じられていたことへの一つの挑戦でもある。
 このような都市伝説的なことはもっとたくさんあるだろう。今ここでいうところ、
「一つの結論」
 として、近親相姦の考え方があるのだが別に結論が存在するとすれば、それはどこか知らないところで誰かが証明しているのかも知れない。その結論が無限であると思うと、りえと一緒に歩んでいく人生。それこそが、今の自分の人生なのだと思えてきた。
 タイムマシンの開発。一度だけのタイムトラベル。一度だけしか許されないが、それが無限の結論を生み出すのだとすれば、一つの時代をこじ開けたと言えないだろうか。
 手紙を握りしめているりえを抱きしめる松岡。ここからが本当の人生の始まりだということなのだろう……。

              (  完  )



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作品名:無限への結論 作家名:森本晃次