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静岡のとみちゃん
静岡のとみちゃん
novelistID. 69613
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悠々日和キャンピングカーの旅:⑥びわ湖一周の旅(滋賀県)

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 少しだけ、過去の近江八幡の思い出を振り返る。
 その1回目は、物流ソリューションを提供する株式会社ダイフクの、マテハン・ロジスティクスの総合展示場「日に新た館」を取材した後に立ち寄った時だ。
 日牟禮八幡宮(ひむれはちまんぐう)の手前の明治橋から見える八幡掘の左右の石垣の上の白壁の家屋の景色は、時代劇等のロケに使われる昔の佇まいそのもので、印象的な場所だった。その帰路、JR近江八幡駅の跨線橋から見たのは、これまでも、それからも見たことのないほどの“鮮やか過ぎる虹”で、その端の部分に行って手をかざせば、燃えてしまうのではないかと感じたほどだった。

 そして2回目は、近江八幡の少し南側のびわ湖の湖畔をパラモーターで「空の散歩」を味わった後に立ち寄った時だった。
 びわ湖に流れ込む日野川の河川敷からテイクオフして、かなりの高度まで上がり、周囲を見ながら湖畔まで飛んだ。そこでは東西にも飛んで、東側の近江八幡や南側の琵琶湖大橋の遠望を楽しんだ。
 その後、びわ湖を背にして戻ろうとした時、風がかなり強くなっていた。向かい風だ。アクセルを吹かしても、湖に押し戻された。それでも、湖岸から20mの湖岸道路まで時間を掛けて進んでも、直ぐに湖岸まで押し戻されてしまうこと数回。ライフジャケットを着ているので、最悪の事態は避けられるはずで、対岸まで飛ぶことも視野に入れたが、湖畔に緊急避難の不時着を試みることに決めた。
 高度を下げて、地上から100mほどの高さに至った時、これまでに体験した事のないほど揺さぶられ始めた。体が硬直しなかったのは不思議だったが、風に、揺れに、体を預けながら、少しずつ高度を低くしていった時、ひとつのリスクの存在に気づいた。それは、湖畔と湖岸道路の間にある松林の上を吹く風が松林の風下の湖岸側で起こすダウンブローで、着地する直前、落とされてしまうことだった。かなり揺さぶられる中、冷静に考えている自分自身に驚きながらも、周囲を見渡すと、松林の密度の粗い部分を見つけ、そこではダウンブローは起きないだろうと、そのポイントを目指して高度を下げ、思いの外、安全に着地できた。その後は仲間に連絡を取り、回収してもらった。
 この体験は今でも、パラモーター仲間が集まった時に、つい話してしまう貴重な体験談になっている。
 その後、パラモーター仲間と歩いた古い街並みや八幡堀が見える道で、先ほどの、ちょっと大げさだが“恐怖のフライト体験”が嘘のようで、目の前に広がる“のんびりした観光地”を胸をなでおろしながら、ゆっくりと歩いた。

 これまでのことを振り返ってみると、近江八幡は、何かのついでに立ち寄った場所だった。だからこそ3回目は、旅の行き先として、妻とじっくり旅情を味わうことにしたい。その時は、まだ体験していない、手こぎ舟での“水郷めぐり”と、古い船が船外機で進む“八幡掘めぐり”を必須アイテムにしたい。