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悪魔の保育園

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「この間、一人の保育士さんが自殺したんですが、その人は自分のことを、絶えず、保母と呼んでくれと言っていたそうなんです。そして、その自殺の中で、遺書があったのですが、そこには、過去のことを告白しているようで、それがどうやらかつての、保育園の事件のことで、ケイタイ電話を使ったと書いているらしいんです」
 と、坂口刑事から聞かされた桜井刑事は、
「そうか」
 と一言言っただけだったが、桜井刑事には、何となくであるが、この事件の全貌は見えていたような気がした。
 そして、八重子の自殺もありなのだろうと思っていたのだ。彼女がここまでしなければいけなかった理由は、彼女自身がストーカー被害に遭い、被害者の気持ちを知ったことで、この保育園にまったく加害者意識がなく、ただ、被害者意識、いや、被害妄想だけで経営しているということに、大きなショックを受けたからだった。
 一つ気になっていたことがあったのだが、一度生活安全課で登録された電話番号の行進切れは、この署では3カ月であったが、半永久でと、彼女が言ったという。中にはそういう人もいるので、警察側は気にしなかったが、その時から彼女は何かの虫の知らせのようなものがあったのかも知れない。
「やり切れない事件だな」
 と桜井刑事は呟いたが、まさしくそうであろう。
 その一言が、事件の結末になってしまったことを、坂口刑事は、憂いていたのだった……。

                 (  完  )
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作品名:悪魔の保育園 作家名:森本晃次