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桐生甘太郎
桐生甘太郎
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八人の住人

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58話 雪の日の返答






こんにちは、五樹です。今日は酷い天気ですね。ロマン溢れる雪景色も、大人になれば億劫な面の方が増えます。


さて、前々話で受け取った言葉への返答を、ここに書こうと思います。Twitterに書いてもいいのですが。

「彼はいつも私を庇おうとしますが、そうされる度に、私は違和感を感じるのです。私は怠慢だし、自堕落です。だから、責められたり、詰られたりする事以外で私を表現するのは、適切でないように思うんです。」

まず、この子の今までの生涯で、この子を「怠慢で自堕落」と評したのは、この子の母だけです。時子はいつも周りの大人に、「努力家」と言われていました。

でも、幼い頃から、自分が一番信頼していた母親から、しつこく「怠け者」、「だらけてる」などと言われ続けた為、彼女はいくら努力を評価されても、受け入れられなくなってしまいました。


現在、重いうつ症状を抱え、今朝から時子は、気圧の急降下により、息苦しさすら感じていました。

その中で洗濯物を畳み、洗い物をし、洗濯をしていた。それから、今日は夫君の休日なので、「外に出たい」と言って、その実夫君が好きな店に行けるように、さり気なく気を遣って。

なんだか泣けてきます。彼女がそこまでする必要などないのに、過去にそれを要求され続けていたというだけで、時子は過剰に“奉仕”を続けるのです。

夫君が直接に「休んだ方がいい」と言っても、「出来る時だけでいい」と言っても、時子は聞きません。やっぱり家の為に働いて、夫君には気を遣って譲ってばかりです。


彼女は今、ずっと息が苦しかった今日に耐え兼ねて、眠ってしまいました。でも、夫君の休日は無理に出掛けようとするので、大体いつも僕と交代します。

息苦しさの原因は自律神経失調症だと思うので、僕はじっくり入浴を済ませ、今これを書いています。僕自身は息苦しさを感じる事はありません。

ひとまず、時子には「朝の日光浴を習慣にしてみない?」と持ち掛けました。他にもいろいろ頼みたいのですが、最初は一つの方がいいでしょう。

ところで、僕はたまに「過保護」と言われるのですが、時子自身は自分の危機的状況に向かって喜んで突っ込んでいくので、仕方ない気がします。

明日は音楽ライブに一人で行くと言っていたので、今からやれやれと気が重いです。絶対に途中でくたびれて交代するだろうと思うので。


いつもお読み頂き、有難うございます。なんとかやっていきますので、また読みに来て下さると嬉しいです。それでは、また。




作品名:八人の住人 作家名:桐生甘太郎