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桐生甘太郎
桐生甘太郎
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八人の住人

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52話 記憶がない!






こんばんは、五樹です。現在、とても大変な事が起きています。


時子が、ここ4年ほどの記憶を、全部失ってしまいました。


発端は一昨日に起きたとてもショックな事なんですが、もしかしたらこの小説を時子が見つけて読んでしまうかもしれない状態では、どんな出来事だったのかを書く訳にはいきません。

とにかくは時子に大きな衝撃が与えられ、彼女はその悲しみに耐えられず、その出来事にまつわる全ての期間の記憶を、手放してしまったようです。

先ほど時子は「家の中の様子が見た事がない場所だ!ここはどこ!?」と混乱する所から始め、身の回りの何もかもが変わっている事に耐え切れず、僕に交代をしました。

時子は、自分が書いた小説の事も忘れているようでした。

時子のTwitterには、「桐生甘太郎」名義のアカウントがあります。ですが、2年ほど前に書いた小説のリンクが貼られたツイートを見て、時子は「書いた覚えがない小説だな」と考えていました。

どうやら本格的に記憶喪失です。


あくまでここに書く訳にはいかないのですが、諸々の記憶を道連れに消してでも忘れたい事が、彼女に起こりました。とても時子に耐えられる物ではなかった。


今日の昼間、記憶を失くす前の時子が考えていたのは、「忘れられたらどんなにいいだろうなあ」というものでした。そして次の瞬間からは、段々と記憶が消え始めたのです。

その間、時子は次第に気持ちが楽になっていき、その反面、自分が居る家が一種の異様なシーンに見える気がする感覚が続きました。

そして気が付いた時には、彼女が今住んでいる家は、「異様な場所」どころか「知らない場所」になっていた。あの感覚は、こう説明したところで理解は難しいかもしれません。

この小説を時子が読むかは分かりませんが、彼女はどうやら、僕「五樹」と割と近しい関係として意思疎通を図っていた事も忘れているようです。

僕達はTwitterで2人ともが同じアカウントを使って、引用リツイートなどでやり取りをしていましたが、それも思い出せず、「どうして私は自分と会話するような事をしてるんだろう?」と首を傾げていました。


しばらくは大混乱だと思うのですが、いつか時子が落ち着いて休み終わったら、この混乱の原因になった事もここに書けると思います。


お読み下さり、有難うございました。それでは、また。




作品名:八人の住人 作家名:桐生甘太郎