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桐生甘太郎
桐生甘太郎
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八人の住人

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48話 ホットケーキ






こんにちは、五樹です。少し投稿間隔が空きましたでしょうか。

僕は今日、ホットケーキを焼きました。焼き方はあまり上手くいかなかったのですが、味は良い方になったと思います。


なぜホットケーキ?とお思いでしょうが、これは時子へのお詫びの印でもあります。

きっかけは、僕がTwitterに書き残した文章2つでした。それは、統合がほどけて、僕がもう一度生まれ直した直後の事です。


“恐ろしい事を言いましょうか。僕がこの子を愛するためには、僕の存在が無いと始まらない。それはこの子が不完全な人格であり、いつも弱っていて、痛みに苦しんでいる状態を指します。僕はそれを望んでいるんですね。愛するために。最低じゃねえか”

“いっそこの子の体を、遠過ぎて帰れもしない外国へと連れて行き、僕だけと暮らすように仕向けたい”


これら2つはもちろん、スマートフォンのアプリケーションからはすぐに消しました。時子が見たら大変な事になるからです。でも、夫君のパソコンに映っているTwitterの方は、気にしていなかった。

この家ではなぜか、パソコンから大画面テレビへとTwitterの画面が常に送られていて、夫君は帰宅するとその大画面でTwitterをしています。そちらの画面は、更新しないと、ツイートが消えません。僕は画面の更新をしていませんでした。


その後目が覚めた時子は、僕が消したはずのツイートをパソコンで目ざとく見つけて、すっかり怯えてしまいました。

見つかってしまったら言い訳が出来ない程、ストレート且つ不気味な内容ですね。それに、謝ったりなにかしたりして取り返せる物ではないので、僕は困ってしまいました。

それからは、僕が表に出てくる度に時子は怯えたり、嫌がったりして、まるで、昔僕が煙たがられて「消えて欲しい」と言われた頃に戻ってしまいました。

確かに失言でしたが、僕は時子の信頼を取り戻さなければいけません。時子が常に一緒に居る「五樹」に怯えたままでは、彼女は気が休まらないからです。そこでホットケーキです。


時子は、夫にとても上手なホットケーキを焼いてもらうのが好きです。でも、僕に出来るかは少し不安でした。

結果、少し形はひしゃげてしまったけど、いい焼き色のホットケーキが出来ました。

もちろんそれだけですぐに機嫌が直るはずはありません。でも、目を覚まして僕が焼いたホットケーキを見つけた時子は、大喜びで食べ始めました。

彼女はこう言っていました。

“でも、ホットケーキ作ってくれたからって、変わらないからな!騙されないからな!”

それは、既に騙されかかっている時の悪足掻きのような気がしますが、まあいいでしょう。これで1つポイントが稼げました。

元々、時子からの僕への信頼は、一番良い時でも、数字にすると約1割という所だったと思います。だから、地道にこれからも挑戦してみます。


本日はこんな所です。お読み下さいまして有難うございました。

最近は更新のスピードが遅いですね。でも、僕達の自己紹介も済んでしまい、後は目新しいトピックスが無いと書けないので、更新は何日かに一度になると思います。それでは、また。




作品名:八人の住人 作家名:桐生甘太郎