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桐生甘太郎
桐生甘太郎
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八人の住人

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46話 決壊






最新話を投稿してまだ数時間しか経っていませんが、大きな転換があったので、ご報告します。五樹です。


結果として、統合は今度も上手くいきませんでした。


時子は、様々な事で体調を崩します。天気の悪い日、外出、人込みなど。今回はそれが全て重なった形です。


「明日は通院日」とさっき話したばかりですが、時子は待合室の人込みを嫌って、いつも診察時は僕に交代していました。でも、統合したなら、全て自分で対処しなければいけません。

その、“外出して人込みに苦しめられるだろう”という予測と、現在襲い来ている寒波による、気圧の急降下。原因はそのストレスだと思います。


そんな些細な事でも、今の彼女には耐えられない。だから僕は彼女に呼びかけました。

“僕を戻して”

“そうすれば逃げられる”

それを聴いていた彼女は、安堵していた。そして、目を閉じ、テーブルに頭を伏せます。


そして僕は、自分の中にある気持ちを元通りに戻し、「五樹」として生まれ直したのです。

僕の気持ちはもちろん“時子を守り支えよう”という気持ちが大半です。でも、自分勝手な希望も何も無いとは言えません。それはこれまでも説明してきました。

ですが、それは僕にとっても、考えていて快い物ではありません。だって絶対に叶わないのですから。

“僕を見て欲しい”という気持ちは、絶対に叶えてはいけません。そうすれば僕は何の為に存在しているのか分からなくなります。

それなのに、予想以上に鮮烈な形で、“このままずっと彼女が変わらず僕を必要としてくれたら”という気持ちが湧き上がってきました。


その後時子がもう一度目覚めた時には、彼女は統合していた間の一日間の記憶を失っていて、どうやらそれは僕が引き受けたようです。

時子は混乱し、訳も分からなくなってすぐに僕に交代しました。


今日の僕達の心は、酷い事になるでしょう。時子は泣くかもしれません。


統合は上手くいきませんでしたが、今の彼女には、僕達全員を負わせるのは、荷が重すぎます。僕は今までを続けていくだけです。


慌ただしい更新になってしまい、すみません。前の話を消しても良かったのですが、あえてそのままにしておきます。お読み下さり、有難うございました。それでは、また。




作品名:八人の住人 作家名:桐生甘太郎