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桐生甘太郎
桐生甘太郎
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八人の住人

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41話 近況






こんばんは、五樹です。僕は今日、4時前に目が覚めました。

一昨日からの2日間の僕達の生活を、また順に見ていきましょう。


まず、一昨日の昼までは時子が表に出ていて、何事も無く過ぎたようでした。ですが、夕方から時子は、部屋の暖房が消えて寒くなっている事に気づいていませんでした。

時子はまだまだ嵐のような精神状態である為、自分の身体の感覚を追うのも、二の次三の次になってしまいます。


寒さは、時子にとって苦い記憶ばかりとリンクします。

幼い頃を過ごし、母と暮らした土地はとても寒かった。だから、気づかない内に寒くなっていた部屋で、時子はフラッシュバックを起こし掛けていました。


次々と嫌な記憶を思い出し、それが彼女を追い詰め始めた夕方5時頃、時子は僕と交代しました。

僕は夕食を食べましたが、睡眠導入剤などはまだ飲まないでおこうと思っていたのです。

ところがそこで、桔梗が目を覚まし、強引に僕と交代しました。

桔梗は短気なので、「フラッシュバックなんて辛いんだから、寝てしまえばいい」と、6時にもなっていないのに、薬を飲んで布団に入ってしまったのです。

結局夜中に目覚めたのは僕だったので、僕はその後、なんとかしてまた眠りました。

この件に関しては、勝手な事をした桔梗を注意したかったのですが、僕は桔梗に毛嫌いされていて、話を聞いてもらえません。なので、時子にメッセージを残し、「薬の件は君から桔梗に「ダメだ」と言っておいて下さい」と伝えました。


この日は合計7時間の睡眠が取れ、目が覚めた時にはまた僕でした。


眠ったから大して眠くもなかったので、僕は家事を片付け、歯磨きや入浴も済ませました。

その後、朝になってから時子が目を覚まして、僕達は交代します。

時子は、前日に桔梗が勝手に薬を飲んだり、起きてからは僕が家事などをしたのを知って、少し混乱していました。ですが、それはすぐに収まったようです。


昨日の時子は調子が良かったようなので、外出をしました。


夫が仕事で家を出る時、時子は車で連れ出してもらって、2駅先のカフェへ落としてもらったのです。カフェで小説を書こうと思ったらしく、2時間程は執筆作業をしていました。

ですが、時子は財布を忘れていたので、スマホで決済出来るカフェの代金しか支払えず、ローカル線で2駅の距離を、徒歩で帰りました。

彼女は歩くのが好きなのでそこはいいのですが、やはり疲れは出ます。

帰宅してシャワーを浴び、昼食を食べると、時子は疲労困憊で何も出来なくなりました。

それから昨日は、時子自身が「起きていても退屈」と考え、夕方に睡眠導入剤などを飲んでしまったのです。夕食も食べずに。

2時間しか眠らない内に、僕が目を覚ましました。

僕は空腹の方が勝っていたのでサンドイッチを作って食べ、グリシンとトリプトファンのサプリメントを飲んで、もう一度眠りました。

そして今、4時前に僕が睡眠から目を覚まし、歯磨きなどをしました。


僕達は目まぐるしく交代する日もあれば、そうでない事もあります。ここ2日は少し慌ただしかったですね。

でも、時子も少しずつ交代に慣れて、あまり悲観しなくなり、混乱も少しで収まるようになりました。

ただ、桔梗が出てくる時、彼女はいつも短絡的な解決法を選ぶ為に出てくるようで、少し気になります。前にも、桔梗が昼の2時に睡眠導入剤を飲んでしまった事があったので。


いつもお付き合い頂き有難うございます。また読みに来て下さると有難いです。それでは、また。




作品名:八人の住人 作家名:桐生甘太郎