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桐生甘太郎
桐生甘太郎
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八人の住人

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33話 代替






こんばんは、五樹です。

今日、時子は、起きたのは7時だったのに、睡眠導入剤などを夕方4時半に飲んで、眠ってしまいました。僕が起きたのは夜の7時半です。まあそれは僕が後で入眠して取り返そうと思います。

ところで時子は、双極性障害の方の治療は精神科で行っていますから、精神科には通い続け、服薬治療を続けています。明日はその通院日です。

双極性障害は、完治して服薬の必要が無くなる事はあまりありません。なので、多分彼女は、一生薬を飲み続けないといけないでしょう。でも、それで予防が出来るならそれでいいのです。

とは言え、病院には行かなければいけません。薬剤処方は1ヶ月分以上は出来ないので、安定期の時子も、ひと月に一度は通院しています。

ここから、僕達の少し特殊なシステムのお話になります。


時子は、PTSDの余波なのか、対人恐怖感がとても強く、見知らぬ人中に連れられていくと、決まって帰りたがるか、僕に交代します。

彼女は今までずっと精神科に通い続けてきましたが、その待合室も、言ってしまえば「見知らぬ人がたくさん居る場所」です。

なので、僕が頻繁に時子と交代をするようになった1年程前から、通院日には、彼女は僕に交代するようになりました。

待合室に着くか、車での移動中に僕に交代してしまい、診察が済むまでは時子は出てきません。多分、病院の待合室で待つという事も苦痛なんでしょう。


僕は診察室に入り、「どうですか?体調は…」と医師に聞かれると、「良い方です」とか、「今はだいぶ悪いようです」と答えたりします。

主治医は時子が重いPTSDを持っている事を知っているので、必ず「解離の方は?」と聞いてくれますが、僕は「今もしてますね」と答える他ありません。

そして、服薬の調整などについて、要望があれば述べ、解決したら診察は終わりです。

時子が目覚めるのは、全て終わった帰りの車内なので、彼女はいつも「診察は!?」と驚き、夫君に「終わったよ」と言われると、また驚いています。


時子は、「もう1年は精神科の先生の顔を見てない。先生元気かなあ。薬はもらえてるからいいのかもしれないけど、これって良くない事だよね…」と、たまに悩んでいます。

僕は、精神科で僕に交代するのは、別段悪い事だとは思いません。時子自身が不安に思っている事なら僕は知っているから、主治医に話せるし、薬も処方してもらえています。


正直に言うと、僕も病院はそこまで得意ではないです。もちろん、病院が大好きという方は居ないと思うのですが、とにかく、長時間待たされる日は、堪ったものではありません。でも、時子が辛い思いをするよりは、僕が「面倒だな、早く帰りたいな」と思うだけの方が、まだ良いと思います。


明日は、病院が年末年始の休み明けになるので、多分だいぶ混むでしょう。

時子は、一番早い時間帯にいつも予約を入れています。だから、その中でも早くに来院して早い受付番号を取り、さっさと診察を済ませたいところです。そのためには、車を出してくれる夫君にも、早起きしてもらわなければいけませんが…。


それでは、お読み下さいまして、有難うございました。またお付き合い頂ければ嬉しいです。それでは、また。




作品名:八人の住人 作家名:桐生甘太郎