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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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八人の住人

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私は過去、母から虐待を受け、母の話している事を聞いて、周囲の大人から守ってもらっている時、学んで理解して、奮った力がありました。それが、「見せかけでも優しくする」という力でした。


私は、母と生活して、母の言葉を深く聴き、「私の母は不当な扱いを受けた事が恐らく他人よりずっと多かったんだ」という事は解りました。母は「あまり親から深く愛されなかった」、「小学校で全員から虐めを受けた」、「会社でいつも冷遇された」と言っていたので。

その母が受けた不当な扱いは、何を端に発し、どこに責任があったのかは、今更追及しても仕方ありません。でも私は、これだけ学びました。


“どんなに不当な扱いを受けた人も、恨み言ばかり言っていれば必ず同情されなくなる”


母は確かに不当な扱いを受けたはずですが、その事に対して同情を示せる人はもう私しか残っていません。一番彼女に近かった私だけです。それは多分母が周囲のせいにして、責任を全て周囲に着せ、恨み言だけを口にしていたからです。私はその事に、恐らく四歳の頃にはもう気付いていました。


そしてその後の私は、「おばあちゃんがなるべくママから自分を離そうと家に呼んでくれるように」、「叔父さんが自分に同情してくれるように」、「叔母さんが自分の世話を嫌がらないように」と、周囲になるべく「優しい子」と見られるように振る舞いました。先に“人の態度は反射する”というシステムの方を学び、根源にある“愛情”は学べなかったのです。

私の周りの人がこの事を聞けば、悲しむでしょう。みんな精一杯私を愛してくれたはずです。「それなのに時子ちゃんには伝わらなかったのか」と、悲しむ。その事は私にも今、悲しみを与えています。

ですが、私はやっぱり、自分の中に愛情があるか問われた時、「無いと思う、教わってない」としか答えられません。早急にカウンセリングに行かなければいけません。そうしてこの問題を解決しなければ、私の人生は苦しいままですし、私を愛してくれた人も報われません。恐らく、私を虐待した母親でさえも。

虐待をしようともしまいとも、子の発育が正常でない事は、少なからず母にショックを与えるでしょう。私の父だってそうです。私を必死に母から守ったのに、結局私が幸福にならなかったら、自分は何の為にあんなに働いたのかと、途方に暮れてしまうかもしれません。

そして、私が愛を知らないまま子育てをすれば、私は常に「私は子供を愛しているのか?」と自問自答を続けなければいけまけん。私は自分を解決しなければいけません。


結局長くなってしまい、すみません。今回のお話はここでおしまいです。

今日はもう育児は夫に任せ、私は休んで、今は感情の整理の為に小説を書きました。これから食事をしたら、もう眠ろうと思います。珈琲でも飲んでから。

皆様いつもお読み頂きまして本当にありがとうございます。今しばらくご辛抱お付き合い願えますと幸いです。それでは、どなた様もお身体ご自愛なさって過ごして下さい。また。




作品名:八人の住人 作家名:桐生甘太郎