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桐生甘太郎
桐生甘太郎
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八人の住人

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115話 病院へ






おはようございます、彰です。本日は報告のみです。


今朝はこれから、6時に出発し、9時に予約してある、新しい病院へ向かいます。

とはいえ、担当する医師は、少し前まで通っていたクリニックに出張していた医師で、担当医は変わりません。ですが、新しい医院では、カウンセリングが受けられるそう。カウンセリングは7回セット。

担当医の著書を読んだ時子の夫が言うには、「たった2回で統合してしまう人もいる」そうです。

ところが、時子はまだ統合を望んでいません。“彼等がいなくなったら、自分は生きていけない”と、僕達交代人格を必要としています。特に、「五樹」を。

ですが、僕は「五樹」が存在し続けなければいけない状態は、危険だと思います。

五樹は、危機回避能力そのままです。それを時子自身は捨てなければ、危機ばかり襲う人生を渡って来れなかった。回避しなければと思うなら、時子は死ぬしかなかった。

今の時子は幸福な環境を手にして生きています。そのはずです。その上で五樹が別個に存在する必要は、もうないのです。僕もそうです。

「彰」は、抑圧された過去の怒りを内包した人格です。その感情を時子に慰めてもらった僕は、もう過去のことで怒ったりしません。たまに思い出して毒づくことはありますが。

もう必要のない感情達を、これから整理しに、時子には、一歩踏み出して欲しいと思います。




作品名:八人の住人 作家名:桐生甘太郎