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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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八人の住人

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21時から23:30に目が覚めた順番は、僕、悠、時子でした。

まず始まりは、彰がその前に書き残していた事。

「俺はこいつの見目や心にはなんとも感じないが、言ってしまえば、人並み以上には優しい。そこに惚れたんだろうな。あきらめろ。俺達はそれぞれに自己愛が形を変えた者達なんだから。怒りだって、自分を守る、一つの愛の形だよ。ああ、いざとなったら、五樹をボコして立場を奪わないとな」

なんとも物騒ですが、元が怒りの人格ですし、むしろあまり過激ではありません。外の人には危害は及びませんから。僕はそれに、こう返します。

「別に、勝とうとも思わないけど。年少者に譲るのが、年長者の務めだからね。」

しかしそこに、その後目覚めた悠が割り込んできます。

「じゃあ、僕はいちばんねんしょうさんだから、僕にゆずって!」

さて、その後、悠を説得したり、僕が物事を整理し、ツイートを見ていた人の混乱に詫びたりしてから、寝る前の薬が飲みたかったのか、時子が23:30頃に目覚めました。そして彼女は叫びます。僕達のツイートは、記憶の共有をすれば、すぐに解ります。

「私の意思は!?夫が居るんだけどな!?どうして私の意思だけ大事にされてないの!?私が好きなんじゃないの!?」

まあそれはそうなんですが、恋とは何よりわがままな感情ですし、どうせ全員、時子を振り向かせる事なんか出来やしません。夫君は、毎日毎時、時子に尽くしていますから。


悠は、今朝起きた時にも、こう言っていました。

「昨日は、時子ちゃんだって、色んな人に愛された方が楽しいんだから、みんなを好きになればいいじゃん、って思ったけど…やっぱり、僕だけがいい…」

それは時子の夫に向かって口に出して言った事なのですが、冗談の上手い夫君は、「だめー!時子ちゃんは、おじさんのものだもん!」と言っただけでした。子供のあしらいとしては、正解です。


さて、長くなりましたが、彰の苦しみは上手く転じましたし、僕達も和やかに過ごせています。それは良かったと思います。


今朝は急に寒くなりましたね。流石に長袖のパジャマを着替える気になれません。皆々様、体調にはお気を付けになって下さい。それでは、有難うございました。また。




作品名:八人の住人 作家名:桐生甘太郎