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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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帰りの電車で人身事故だった

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帰りの電車で人身事故だった



 以前、朝の通勤電車で、人身事故があって、そのため病院に遅れた話を書いたことがある。
それから何ヶ月かたった木曜日の夕方だった。

 仕事が終わって6時ごろ、いつもの乗り替えの電車の優先席に腰を下ろした。

 すると、電車のアナウンスで、
「ただいま、○○駅と○○駅の間で人身事故が発生いたしました。現在、警察の現場検証が行われております。お客様にはたいへん申しわけございませんが、しばらくお待ちください」と言った。

〈またか! ほんとにこの線は人身事故が多い〉
他の乗客も皆ため息をついている。
しかし、前回の朝の時とは少し違う。切迫感がないのだ。
これから仕事に行くのではなくて、仕事が終わって帰宅する途中だからだろう。
どことなく余裕が感じられた。笑い声さえ聞こえる。