EMIRI 8 元カレが帰って来ると
エピローグ
「すっきり片付いてよかったわ」
「村木ときっぱり別れるなんて、今の今まで信じられなかったけど」
「う~ん。でもやっぱり、春樹君の存在の方が大きくなっちゃってるのよ」
「きっといい人なんだろな」
「て言うか、キッドみたいに強引なとこあるのに、案外あたしに無関心なとこあって、見た目にもカッコいい彼じゃないけど、いつもすごく優しいのよ」
「喧嘩もしないくらい?」
「しないなぁ。颯ちゃんとはよく喧嘩して、すぐ仲直りしてたけど、あたしが我慢してきただけだったような気がするの」
「それその通りだと思う。お前って断り切れない性格だろ。我慢してでも相手の言うとおりにするとこあるもんな」
「あんたもそこを利用してきたんでしょ」
「そう言われればその通りだけど。頼りになる存在って言えば許してくれる?」
「お返しがないと許さないわよ」
キッドは少し笑って、後部座席のカバンを手に取った。
「はい、これ」
そう言うと、カバンからラッピングされた紙袋を取り出して、恵美莉に差し出した。
「うん?」
「少し遅くなったけど誕生日プレゼント」
「へえ? 珍しい」
「そういや(お前にプレゼント渡したことなかったな)って思ってさ」
「そうね」
「なんか、村木に遠慮してて、今まで渡せなかったんだ」
「それはあたしもそうよ。あたしみたいのがプレゼント渡してたら、あんたの周りの女が変に思うでしょ」
「そうだったかな?」
「うん。あたしだって気を使ってたわ」
「なんかお互い様だったな」
「あんた誕生日、9月よね。そん時はお返しになんか渡すね」
「・・・・・・それこそ気を使ってないか?」
「うん。気を使うなぁ。あたしたちへンな関係よね」
「俺たち同士のことには遠慮するって、そんな付き合いだったんだな」
「今更、誕生日に会うっていうのもヘンだしね」
「ま。俺へのプレゼントは、誕生日の前後6か月間受け付けてるから大丈夫だよ」
「ふふふん、何よそれwww。1年中じゃない。・・・これ開けるよ」
作品名:EMIRI 8 元カレが帰って来ると 作家名:亨利(ヘンリー)