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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 8 元カレが帰って来ると

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 日曜日のキッドと颯介は、恵美莉のことは一旦置いといて、前日知り合った田中と羽田の二人と合流した。前夜のライブの興奮をそのままに、キッドの狭い車内でかけた“夜ドラ”のサウンドに酔いしれながら、楽しい日曜日を過ごしてしまったというわけだ。
 そして、暗くなる前に帰宅しないといけない18歳女子二人を、家まで送り届けた。せっかく車で連れ出したものの、この世代の女子にはまだ、2日連続の夜遊びはハードルが高く、門限の壁があったというわけだ。でもキッドは颯介にはバレないようにちゃっかり、羽田とは次も会う約束をしていたのだが。
「お前は彼女いないのか?」
 そのグループデートの帰りがけに、颯介が車内でキッドに聞いた。
「いる。いるけど、別に今日、浮気したわけじゃないし。これからが楽しみだけど」
「そういう感じ? 俺はそんなこと出来ないな」
「まだ恵美莉に義理立てしてんのか?」
「そういう意味じゃないけど、大事な女ってのは間違いないから」
「向こうはもう次行っちゃってんじゃないの?」
「そうかもな。でも俺の方が付き合い長いわけだし」
颯介は変な自信から、少し笑って話した。
「何言ってんだよ。何年付き合ったとしても、別れたらそれで終わりだと思うけど」
「そんなもんか?」
「お前も向こう(カンボジア)じゃ、自由に楽しんでたんだろ」
「・・・ふふん」
颯介は更にニヤケた。
「ほらみろ、お前だってそうなんだから、恵美莉だって健気に待つわけないさ」
「でも戻って来れば、もうアレはなかったことに出来るし」
「何都合のいいこと言ってんだよ。逆に恵美莉もカンボジアに会いに行けば・・・」キッドは親指を立てながら「こっちでのコレはなかったことにするかもしれないけど、相手に帰って来られちゃ、ソレは出来ないだろう」
「それもそうか。俺はやっぱり恵美莉が好きだったんだと気付いたのに、もう手遅れってことなんだろうか」
「それに、すぐにカンボジアに戻るんだろ?」
「ああ、来月な」
「向こうに待ってる娘はいないのか?」
「いるんだよ。実は」
「なんだぁ? それ。恵美莉に言うぞ」
「やめてくれ。仕方ないんだよ。その人は」
「どういう人なの?」