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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 8 元カレが帰って来ると

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恵美莉は目をそらして、黒板の方向を見た。すると今度は講師と目が合ってしまった。すると反射的に目をそらして、隣に座るみのりを見た。彼女は机に突っ伏して寝ている。
(よくこんな小さい教室の講義で寝られるわね)
また黒板を見ると、講師がまだこっちを見ている。どうやらみのりを見ているようだ。恵美莉は右腕で、みのりの体を揺らしたが、そう簡単には起きない。講師に苦笑いしながら、もう一度強くみのりを揺らすと、ようやく彼女は目を覚ました。
「なに?」
「前見ろ」
みのりが視線を上げると、講師は眉を寄せた。その瞬間みのりがピンっと背筋を伸ばすと、それにつられて恵美莉も背筋を伸ばして講師を見た。すると講師は首を軽く左右に振りながら、講義の続きを始めるのだった。
(なんだか、あたしまで睨まれちゃったじゃない~)
もう一度窓の外のカラスを見ると、こっちもまだ恵美莉を睨んでいる。
「カァーカァーカァーカァーカァ」
今度は5回鳴いた。
(5回鳴いたら、怒ってるか警戒してるんだって誰かが・・・)
恵美莉は一時停止した。
(それ言ってたのあいつだ。そうだあいつに相談しよう)

「ああ、お前、誕生日だったか。おめと!」
「ああ、それはいいよ。もうみんなから祝ってもらってたから。それより相談聞いてよ、キッド」
 恵美莉が相談電話をかけた相手は、キッドこと木田博之。彼は中学1年の時から高校3年までの6年間、周囲の誰もが認める気の合う友達で、まるで姉弟のような間柄だった。恵美莉に颯介を紹介したのも他ならぬキッドである。
「ニートなお前が、最近変わったな」
「そりゃ、高校ん時よりは、社会に出る機会増えてるもん」
「今彼氏は?」
「いるに決まってんでしょ。前、話したじゃん」
「ああぁ、大学の先輩か? あれからずーっと付き合ってんの?」
「あたしはじっくり付き合うタイプなの! あんたみたいに3か月ごとに相手替えないよ」
「3か月ってことはないわい!」