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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 8 元カレが帰って来ると

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「あんたの話はどうでもいいのよ。春樹君とはね・・・」
「彼氏?」
「うん、黙って聞け! 春樹君とはすごーく、うまくいってんのよ。でも周りが放っといてくんないって言うか、面倒なことが増えちゃってさ」
「どんな事?」
「・・・それは、色々あるじゃない」
「モテモテ自慢する気か?」
「そーゆーことじゃなくって、色々」
「その色々って、ヤバそうなことだよな?」
「ヤバイことはしてないって!」
「今の口ぶりじゃ、絶対してる」
「どんなことしてるように思う?」
「浮気?」
「キッドォ! あたしがそんなことすると思う!?」
「うぅ。お前の性格じゃ、出来ないだろな」
 キッドは高校卒業以降の2年余り、恵美莉にはあまり会っていないので、最近の彼女の行動には全く想像が付いて行かないのだ。
「あたしがどんな性格だって言うのよ」
「お前ってのは、偉そうに話すのに引っ込み思案で、女の友達が少ないやつ」
「あたしってのは、ハキハキものを言って、男より一歩下がって立ち、その人一筋で満足するやつよ」
「はっはっは、それ面白い。お得意の小説的な表現。そんな女だと思ってた」
「何言ってんの。小説なんてもう1年以上書いてないわ」
「ええ? そうなの? 俺、読ませてもらったことないけど、そのうち読ませてほしいなって思ってるのに」
「今はそれどころじゃないのよ」
「そんなに忙しいのか?」
「時間がない訳じゃないけど、心に余裕なくなったのか、颯ちゃんと別れてから書く気になれないの」
「ふーん。早くよりを戻したい訳か」
「ち・が・う! 反対よ。後戻りしたくないの!」
「どういうことだよ」
「もうすぐ帰って来るのよね。だから困ってるの!」
恵美莉の相談は、久しぶりに颯介と、どんなふうに会えばいいかだった。