悠々日和キャンピングカーの旅:⑤山梨県の旅(白州、河口湖)
道の駅からR52の北上を続けると、時折、富士山の頂部分が杉林の上に見える。そして、身延山の案内板が見えたので、その参道にちょっと立ち寄ることにした。
身延山の久遠寺(くおんじ)は日蓮宗の総本山で、以前、家族でロープウェイに乗って、奥之院と日蓮聖人の立像のある身延山の山頂付近に行ったことがある。その先の展望台から景色を眺めている時、修行中の若いお坊さんと少し会話する機会に恵まれた。先ほど、奥之院でお参りした早速の御利益だったのだろう。再び、ロープウェイに乗って下山。その麓駅近くの久遠寺で、家族の安全と無病息災を祈願した。
妻と息子には身延山をもっと味わってもらおうと、三門までの石段を下りてもらい、私はクルマで三門の前まで下りて、二人を待っていた。20分ほど待つと、二人が息を切らせて下りてきて、開口一番「めちゃくちゃたいへんな石段だった」と。段差が大きく、急な石段で、そこを下るにはかなりの注意を要したとのことだった。
後でネット検索したところ、そこは「菩提梯(ぼだいてい)」と呼ばれる急な287段の石段で、身延山の中で最も“しんどい場所”のようだった。久遠寺に向かう多くの人は、三門を潜り抜けて「菩提梯」を前にすると、皆、驚きの声を出すという。この三門からの仏教的意味は、三門でお釈迦様や十六羅漢によって菩提に誘われ、菩提梯を上り切って悟りを得て、久遠寺境内という浄土へ達する道と言われているとのことだった。
妻と息子は、その逆を辿ったため、浄土から現世に戻って来たことになった。
今日は、その三門まで行って、その前でキャンピングカーの写真を撮ることと、参道の店で「みのぶまんじゅう」を買う予定だったが、身延山の入口にある「開会関」という総門を抜けた先で渋滞。三門まではかなりの距離もあるので諦めて、Uターンした。
この身延山のあるエリアの所々にしだれ桜が見られる。そんな土地柄なのだろう。以前から、ここを走る度に気になっていた大きなしだれ桜がR52沿いにあったことを思い出し、そこに向かうことにした。そのしだれ桜は鏡圓坊(きょうえんぼう)という寺の境内の中にあった。ちょっとだけ墓地に入らせて頂き、その美しさと繊細さに驚きながら、巨木のしだれ桜の写真を撮り、その後、JR身延駅界隈に向かった。
富士川に掛かる身延橋を渡り、身延の街に入った。あちらこちらに無料駐車場があり嬉しい。最初に入った駐車場で空いているスペースがあったが、両側にクルマが止まっている間に停めることは可能だが、キャンピングカーの車幅は少し広いため、乗り降りが厳しくなるので、ここはやめて、別の無料駐車場を探した。
待ちに待った“ほうとう”を食べられると、駐車場近くの和食店に入ったものの、かなりの客の数。待ち時間を尋ねたところ、分からないという。そこで、隣の喫茶店風だが“ほうとう”ののぼり旗が立てられていたので、その店に入った。そして迷わず“ほうとう”を注文した。汁の味は美味かったが、大根はNG。期待が大き過ぎたのか、全体的に少し残念だった。
この身延駅界隈は白壁の建物で統一され美しく、広い歩道が整備されている。そこを少し歩くと、アニメ「ゆるキャン△」のなでしこちゃんたちが食べた“みのぶまんじゅう”の和菓子店の前に10人ほどの行列が出来ており、コロナ感染防止のためにマスクを二重に掛けた妻が並んでくれ、彼女らとは45歳差の私たち夫婦も、あのベンチに座って富士川を見ながら、美味しく頂いた。
妻に反対され、行先を失ったこの「キャンピングカーの旅」はR52を北上して、甲府盆地の南端にある道の駅「富士川」に到着した。北東からの笛吹川、北西からの釜無川の合流した地点から始まる富士川、そのあたりに出来た新しい道の駅だ。ショップの前には多くの出店があり、覗いてみると、いくつものミニカーを売っている店があり、キャンピングカーのミニカーを探したが、残念ながら無かった。トミカのミニカーのシリーズに、キャブコンのミニカーがあれば、私のキャンピングカーの運転席やダイネットに飾りたい。
道の駅のショップを見て回った後、トイレの2階の展望台に行った。西側にドカンと櫛形山、そして北西方向に少し霞んではいたが、南アルプスの前衛峰の鳳凰三山にピークが見えた。
そこから下りて、駐車場を見渡すと、車高の高いキャンピングカーは目立っていて、探す手間はいつも要らない。
こんな時、何故か思い出したのは、仕事の関係で南米のコロンビアに駐在した時の、コロンビア人の社長の信じられない体験談だ。その社長は防弾仕様のランドクルーザーに、4人のガードマンが同乗しての移動をしていた。
その社長の若い頃、彼自信が運転するコロンビア製の青色の、日本の少し前の軽とほぼ同じ大きさの“ルノー・4(クアトロ)”に乗っていた。それで、スーパーマーケットに行った帰り、運転していたクルマの車内の雰囲気に違和感があり、他人の青色の“ルノー・4”だと気付き、大急ぎでスーパーマーケットの駐車場に戻り、自分のクルマを探して、帰宅したという。当然彼は、自分のキーでドアのロックを開けて乗り込み、エンジンを始動したのだが・・・、こんな珍しい経験があるとのことだった。
日本では聞いたことがない話だが、キャンピングカーのドアは、ベース車のカムロードの運転席用と架装部分のエントランスの2種類のキーがあるが、果たして、エントランスのキーは大丈夫なのだろうか、ふと、そう思った。