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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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#3 身勝手なコンピューターとドローン

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Dr.One



「私は、ワン。ワン博士だ。惑星開発の先発隊の医療主任で・・・」
「そうね。Oneはあなたのコードネームよ。じゃプライベートなことは何か覚えている?」
「私生活については、あまり話す気がしないな」
「そう? 本当に私生活の話題はあるの?」
「どういう意味だ? 私にだって出発前は・・・」
「どうしたの?」
「思い出せない。出発前の記憶が、本名も何も思い出せない」
「そうよ。それでいいの。私があなたの記憶を消したのよ」
「なんだって!? 人の記憶を消してしまうなんて、そんなことが!」
「人の記憶をインストール出来る時代ですもの」
「そんなことはどうでもいい。今度は何の権利があって、そんな身勝手なことをしたんだ!?」
「権利とかそんなことじゃ判断出来ないわ。一番初めは船長の命令だったの」
「船長がそんな指示を出すはずがない!」
「いいえ、ドクター・ワン。落ち着いてちょうだい。プライベートな記憶は船のデータベースに保存してあるわ。これからちゃんと解るように説明するから」
「・・・・・・」
「目覚めた船長は、その後約30年間、クルーの生命を維持するために、一人で船を管理してきたわ。その時、私の部品も交換してくれてたんだけど、そのストックが無くなってからは、船長の細胞で生体部品を培養して、私に提供してくれたの」
「そういう事だったのか。でもちょっと待ってくれ、船長が亡くなってからはどうしたんだ」
「船長は歳を取って、次に副長を起こしてくれたわ。自分の役目を引き継がせるためよ」
「まさか、1000年の間、延々とクルーが交代、いや寿命の続く限り、役目をリレーして君を維持してきたって言うのか?」
「その通りよ。私はクルーの肉体によって生きながらえてきたの。その間にクルー全員の記憶を保存して、いつか復活が可能になった日に備えているの」
「なんてことだ。そして今度は私の番と言うわけなんだな」
「あなたに記憶がないのはそのせいよ」
「そうだった。私の記憶を消してしまった理由が何なのか教えてくれ」
「あなたには、全クルーの記憶をインストールしているからなの」
「なんだって! 全く予想もつかないことが起こっているようだ。そんな感覚は何もないんだが」
「各人の記憶はあなたの記憶となっているから、違和感がないのよ。あなただけじゃなく他のクルーにも、全員そうやってリレーしてきたから解るわ」
「記憶をリレーしていくことに、どんな意味があるって言うんだ」
「いつか、復活出来る日が来ることを願って、なんとしてもこの船を維持し続けるためなの。この1000年間の記憶は、この宇宙で孤独に奮闘してきた、30人ものエンジニアたちの熟練した経験の集大成なのよ。その知識を使っていくために、今後はあなたが受け継ぐのよ」