小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

#3 身勝手なコンピューターとドローン

INDEX|5ページ/9ページ|

次のページ前のページ
 

「しかし、1000年もそのままだなんて。この先はどうするつもりなんだ?」
「それをあなたが決定することになるわね」
「どうしてだ?」
「階級があるクルーで、活動しているのがあなただけだからよ」
「じゃ、船長だけでも起こしてくれないか? こういう場合は船長の判断がないと」
「それもいいけど、船長が目を覚ますのは難しいわ。かなりかかるわよ」
「え? まさかスリープ中のバイオリズム管理が出来ていなかったと言うのか?」
「そう。休眠キャスケットに十分なエネルギーを送れなくなったのは、今から900年以上も前のことなの」
「エネルギーが足りなくなってしまったというわけか」
「ええ、事故でプラズマを大量消費してしまって、わずかな望みをかけて、スリープを続けたけど、プラズマはゼロになってしまったわ。その後は、原子力バッテリー電源で45年間維持したけど、焼け石に水ね」
「正常な休眠は続けられなかったろうな」
「ええ、船の機能維持に電力を残して、コールドスリープは諦めることにした」
「つまり、クルーを冷凍保存してくれたんだな。仮死状態で・・・それで私の体も言うことを聞かないのか。しかしこのままでは・・・」
「じゃ、どうしたいの?」
「それでも皆を蘇生させよう」
「それはやめた方がいいわ」
「どうしてだ?」
「エネルギーがないのよ。活動する30人を生命維持出来ない」
「ソーラー発電も出来ないのか?」
「この進路にもう恒星はないわ。遠くに見える星だけじゃ、ほとんど発電出来ていないの。進路変更出来ない以上、次に発電が可能になるのは、8光年先からよ。あと40年近くかかるわ」
「それじゃ、出来ることも限られているぞ。ならやはり、可能な限りの人数を起こしてくれ」
「・・・・・・」
「またか。どうした? マザー」
「それなら、ドクター・ワン。仕方ないから説明するわね。落ち着いて聞いてちょうだい」
「どうしたと言うんだ。こんな状況で、これ以上驚くことなんかあるものか」
「今、他のクルーは起こせない。何故なら、もう皆死んでしまっているからよ」
「なんだって!? さっき船長を起こすのに時間がかかるって言ってたじゃないか」
ワンはコンピューターの意味不明な言動に、不信感をあらわにした。
「ごめんなさい。目覚めたばかりのあなたが混乱すると思って、そう言ったの」
「で、でも休眠キャスケットは、冷凍仮死状態なんじゃないのか? 皆死んでしまったって、一体どういう事なんだ?」
「そうね。それを説明するには、少し時間がかかるわ」
「本当にキャスケット(棺桶)になってしまったのか・・・」