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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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#3 身勝手なコンピューターとドローン

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 ワンはようやく無理やり目を開けた。
「ドクター・ワン、まだ目の機能が回復していないはずよ。部屋は暗くしてあるけど、何か見える?」
「・・・いいや、まだ全く見えない。それより、船体はエネルギー防壁で守られているんじゃなかったのか?」
「ええ、そのおかげで大破することは免れたわ。でもすぐにその異常事態が突発的な亜空間断層のせいだって分かったから、その断層をジャンプしたの」
「私は医者だから、船の技術的な事はよく解らない、でも、そんな状態でジャンプしたら、ただで済まないんじゃないか?」
「その通りよ。エネルギーのほとんどは、船体構造維持のために使って、最小限のジャンプにとどめたの、それでももう、元の航路に戻るだけの余裕はなかったわ」
「どれくらい航路を逸れてしまったんだ」
「・・・・・・」
またコンピューターは応答せず、静かになった。
「どうなんだ!? マザー!」
「もう言葉で説明出来るようなズレじゃないの」
「戻れないのか?」
「ええ」
「じゃ、どうして停船しなかったんだ」
「どんなに優しくブレーキをかけても、船体はバラバラになるわ。私たちは今、シャボン玉に乗っているようなものなのよ」
「そのままのスピードで飛び続けるしかなかったというわけか」
 ワンは眉を寄せながら上体を起こして座った。そして手探りで掴めるところを探しながら、足を床に着けようとしたが、思うように体を動かすことが出来ない。
「ドクター・ワン、まだ歩くのは無理だと思うわ」
「コールドスリープの後でも、緊急時にすぐ対処出来るくらいは動けるはずだ」
「通常ならね」
「どういうことだ?」
「眠っている時間が長すぎたのよ」
「・・・どれくらい眠っていたんだ?」
「1021年間なの」
「そんなに・・・他のクルーはどうした?」
「・・・ええ、他の皆は眠っているわ」
「では、どうして私だけ起こしたんだ?」
「ドクターの休眠キャスケットの回路に、フォルト(fault=障害)が出て、スリープ状態を解除するしかなかったの」
「そうか。ありがとう。皆は起こさないのか?」
「クルーに対処不可能なトラブルが発生した場合、航行規約8-13によりスリープは解除しない決まりになっているから」