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忘れられない人たち

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その2 バーチャルのともだち①



夫が脳の病気を患って亡くなるまで10年余り戦々恐々と過ごした。その間娘に勧められてパソコンを始め、SNSに入会して沢山の人との出会いがあった。

SNSでは女性が直接近づいてくることはほとんどなく、男性からは多くのフレンド申請があった。その人達の付き合いを通して色々な知識を与えられることが多かった。
ホームぺージを作った頃に入会したSNSでは、サイト内に設けられた個人間でメールをする場所があり会員は日々愉しんでいた。

私も自分より一回り以上年下の友達と繋がり話をしたものだ。日記も毎日書いていたので沢山のフレンドがコメントをしてくれてとても楽しい時期だった。
何も知らなかった私がその会で教えてもらったことが私の人生を溌剌としたものに替えたといっても過言ではない。

音楽にしても小さいころから習っていたピアノの曲しか知らなかったのにyou tubeというものがあることを知って、色々な曲や歌手の歌を聴くようになった。
最初に教えてもらったのが高橋真梨子の「いっそセレナーデ」という歌。曲の前奏が流れると感動して涙を流したものだ。

写真を投稿するようになると、会員さんが撮影の基礎を教えて下さり下手ながらも写真をサイトにアップしていた。
コンデジではレンズが装着できないことが判ったので、夫が小遣いを溜めていた中から一眼レフを買ってくれた。
コンデジが2、3万で買えた頃に、一眼レフは26万ぐらいの定価だったがネットで10万台で手に入れることができた。
自分で何とかカメラの操作を勉強し、ネットの人のアドバイスのお陰で次第に上達していった。

小説を書く人と友達になってからは私も挑戦したいと思い拙い小説を書くようになった。身近な人物を題材にして、まるで作文のような固い文章の小説だったがかなりの長編を次々書いた。登場する人物は家族や親戚、知己など実在の人物の生涯や生活を赤裸々に書いたが、その小説をウェブで読める者は誰もいなかったので安心して勝手に創作した部分が大半だ。

大勢の創作をする仲間がいて、私生活は修羅場でもいざネットに繫がると楽しい世界が待っていた。


作品名:忘れられない人たち 作家名:笹峰霧子