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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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そらのわすれもの8

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「イヤです!」
優太は答える。
「もういいわ!私には力がある。無理やり誰にも頼らずに知秋を今から連れてく!」
知秋の腕をひきあげるも、力がないため、引きずるかたちになる。知秋は椅子から落ちた。琴恵は知秋と一緒に転びかけ、うんざりしたように叫んだ。
「どいつもこいつも!知秋は魔法を使っても、拘束してでも連れてく!」
言った途端に強い風が琴恵を中心に起き、知秋の身体を浮かせた。
優太は一か八か知秋を守ろうと知秋を引っ張る。その時だった。
琴恵は大きく仰け反った。
知秋…否、それは人格の入れ替わった知春が琴恵を大きく突き飛ばしていた。
「私は、あなたの元には行かない!」
琴恵はさっきまでの威勢は消え、顔が硬直していた。
「行こう、優太くん!その人は危険な人!」

躊躇なく強くひっぱる手に優太はそのまま従わざるを得ず、走ってその場から去った。
誰もいないガランとしたファーストフード店。
独り取り残された琴恵は、未だに体制が建て直すことができずにいた。
「あの娘、今、何使った?」

一言そう漏らすと
琴恵は持っていた大きな鞄を引き寄せ、優太と知春が出ていった先を睨んだ。