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未花月はるかぜ
未花月はるかぜ
novelistID. 43462
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そらのわすれもの8

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ずっと竜也に琴恵、2人は知秋の気持ちを気にせずに好き勝手触ったり、人間の姿から精霊の姿に戻したりするのが不快だった。
「は?」
琴恵は返す。
優太と琴恵は見つめあった。
しばらく沈黙が流れ、知秋の寝息のみが聞こえた。
日が落ち一層辺りが暗くなると琴恵は付けていた時計を確認し、日没までの残された時間を逆算して言った。
「まあ、いい。本当に何も言われてなさそうね。度胸があるのか、愚かなのか。…天野先生…調子が狂うから竜也と呼ぶわ。竜也がそちらになにも吹き込んでいないのは、好都合。」
「…。」
「あいつ、こちらの立場が弱いことに散々言いやがるから。」
口が悪かった。表情も醜く歪んでいた。公私でこんなに違うものかと優太は唖然とした。
「分からないわよね。何も吹き込まれていないって言っていたものね。」
また乱暴に琴恵は知秋の腕に触れた。握られた服のシワが深く、力を入れているのが分かる。
「でも好都合よ!全部話すわ!私にとって不利なことも話すわ!だから…。」
琴恵は優太を真っ直ぐ見つめて伝えた。真剣な顔だった。
「知秋に私の元に来るように言いなさい。どんな手を使っても、竜也から引き離し、私の方へ来るように、朝の人格にも夜の人格にも説得をして。」
「自分勝手すぎます!」
乱暴に知秋の腕を握る琴恵から優太は知秋を引き離し、琴恵の目を真っ直ぐに見た。
「貴方たちは、知秋の意思を無視するじゃないですか!貴方も天野先生も僕には変わりありません!」
それを聞き、琴恵は逆上した。
「あんな奴と一緒じゃないわ!私の元へ知秋を引き渡しなさい!」