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新しい出会い

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その6


彼女とは毎日のように電話で話すことにしている。遠慮しているようなので私のほうから電話することが多いが、その度に、掛けようか、迷惑だろうかと受話器に手を伸ばし亦ひっこめていたところよ、という。

あのように気の強い人が本音でそういうことを言うので、やっぱり私にできることがあれば支えてあげたいという気になる。

事務的なことはこれまですべて旦那様がしていたらしく全く分からないという。
まず確定申告のことをきいてきたので、必要な物を列挙してメモさせた。細かいことなので分からないこともあるだろうけどその時は聞いてねと言ってある。

何しろ私自身は、夫が死ぬ数年前から事務的なことはすべて指導を受けていた。税務署にも初めて出向いてちゃんとやれたときは褒めてくれた。

私が在籍していた生活勉強会の人たちは早くからそういう家庭の事務は自分でしていたらしい。
私は家の管理はすべて夫に任せていて何も知らないぼーっとした主婦だったので、夫は自分が死ぬまでに自立させねばと考えてのことだったらしい。

いまは税理士さんに依頼しているので、一月に事務所から連絡が来たら必要な書類を揃えて持って行けば良いのだ。持参する種類は9個あるので、それらを彼女にメモさせた。

作品名:新しい出会い 作家名:笹峰霧子