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新しい出会い

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その4


彼女との電話は、先方から掛かるときもあり、私から掛けるときもある。

先日彼女から興奮して電話が掛かって来た。何十日も実家に滞在して何もかも世話をしてくれていた次女との仲が険悪になったというものだ。

その日は次女とその夫が遠くから来ていたらしい。
彼女は今回亡くなった夫の財産を相続して娘ふたりには何もやらなかったらしいがそのことは問題ではなく、彼女が死んだあとの相続について話したときに騒動は起きたらしい。


彼女には二人の娘がいて、長女のほうは離婚した後東京で会社に勤めている。
身体が弱いので、現在親が住んでいる家と主人の退職金で買ったアパートを長女に相続させたいと話したらしい。

そのとき次女が立ったまま、今までに聞いたことがないほどの声で母親に喰ってかかったのだという。たまたま料理していたのか、次女は手に包丁を持っていたので怖かったよと彼女は言った。

あれは連れ合いの入れ知恵だ、他人が付くと難しいわ。ま、本人もその内の一軒が欲しかったのだろうけどと言っていた。

その時彼女は次女に負けないほどの大声で、親に向かってその言い方は何だ、帰れ!と一括したのだそうだ。
次女は荷物をまとめて父親の墓詣りをして帰って行ったらしい。

彼女は子供に反抗されたのは初めてなので、親を馬鹿にした態度が許せない、このまま来なくなっても良いからと言っている。

作品名:新しい出会い 作家名:笹峰霧子