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新しい出会い

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その3


彼女とは奇しくも生年月日が同じなので、その日に誕生日会をしようということになった。何処の食事処にするか決めようと、お店の名前を三つ提案し、その一つに電話したら店を閉めているという。二番目に掛けたお店も繋がらず、三番目の店がやってるという返事だったのでそこに決めることにした。

彼女には明日●●店で11時半に落ち合おうねと電話を切った。その食事処の名前も住所も念を押したつもりだった。

翌日私は三十分前に家を出て店で待っていた。入って来る客ごとに首を伸ばして入口を見るのに、一向に現れない。二十分過ぎたので軽いデザートを注文し、そそくさと食べて店を出た。

もしかして店の名前を忘れた?いやいや身体の調子が急に悪くなった?色々想像して彼女の家まで行き車を停めて待っていた。すると前方から日傘を差した女性がこちらに向かって歩いて来るのが見えた。

まさしく彼女だ。
彼女は私を見るなり、すごい剣幕で言った。
「**店で40分待った。**店って言ったでしょ」と言う。

「最後に●●店でねって念を押したよね」と私は静かになだめるように言った。
興奮冷めやらぬ顔の彼女を車に乗せて、今まで待っていた食事処へ引き返した。車の中でも彼女は怒りが収まらないらしく、「やっぱりあなたとは縁がなかったのかなと思ったわ。お互い腹を立てながら待ってたのよね」という。

「腹は立ててないけど・・」と私は穏やかに話した。

お食事処ではすっかり機嫌が直った彼女は嬉しそうに話しをして、来年は誕生日だけでなく度々食事しようよと乗り気だった。
気持ち良くさよならして誕生日の会食を終えることができた。良かった。


作品名:新しい出会い 作家名:笹峰霧子