あの日、あの夏、あの子に向けて
回想シーン。
神社の境内に座り、アイスを食べているツバサとアオイ。
先に食べ終わったアオイが立ち上がり、ツバサの方を向く。
アオイ「あたしね! この夏が終わったら転校するんだ!」
ツバサ『食べていたアイスを落としそうになるくらいにはその言葉は俺には衝撃的だった』
アオイ『言わなきゃと思いつつ、今まで言えなかったお父さんの転勤をツバサにようやく告げられ、あたしの心は少しだけ軽くなったような気がした』
ツバサ、アオイの言葉を聞いて思わず立ち上がる。
ツバサ「なっ! なんでーー」
アオイ「今まで仲良くしてくれてありがとね! ツバサ!!」
ツバサ「おっ、おう……」
アオイ「今年の夏はさ! ……最後だから、いつも以上にたくさん! たーっくさん思い出作ろうね!!」
アオイ『ツバサに心配かけまいと、精一杯、あたしは笑顔を作る』
ツバサ『そう言って、笑ったアオイの笑顔は照りつける太陽よりも眩しくて、すごく、嫌だった……なんで、お前は笑っていられるんだよーー』
作品名:あの日、あの夏、あの子に向けて 作家名:小泉太良