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誰がために劇は成る

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ファースト「な、なんだよ。別に変じゃないだろ」

セカンド「いやファーストはどっちかっていうと俺らを止めるキャラじゃん?乗ってくることって無かったから正直驚いとる。」

ファースト「いいだろ、俺だって書きたいんだよ。それに、ゆーなちゃんが気に入った台本で今年の学園祭で上演すればお前ら文句ないだろ?」

サード「なるほど」

セカンド「たしかにいいアイデアだ。」

ファースト「そうと決まれば話は早い。誰が一番いい台本を書けるか勝負だ!」

セカンド「いい度胸だ。あとで泣いても遅いぜ。」

サード「ふっ、泣くのは誰か既に決まっています。そして、誰が最後に笑うのも。」

ファースト「期限は特に設定しないが、まあ早く作ったらそれだけゆーなちゃんに指摘もらえて良い台本になるからな。期待してるよ、お前らのだいほんがどれだけ「つまらない」かをね。はっはっはっはっはっは。」

セカンド「けっ、吠えてろ。」

サード「それじゃあ、僕はすぐにでも書きたいので。それでは。」

セカンド「俺も失礼するぜ。お前らの泣きっ面を早く拝みたいからな。」

ファースト「そうか。じゃ、また来週」


三人、上手へ捌ける
場転BGM「Full House」 Wes Montgomery


ファーストが部室へ入ってくる。ものすごく眠たそう。


ファースト[椅子にどっしり腰掛けて上を向く]「フゥゥゥ・・・・」


数秒たった後にセカンドが入室。同じく眠たそう


セカンド「うっす」 [カバンを床に投げてあぐらをかく]
ファースト「おう」

お互い、台本が出来たのか気になっているが聞けず、もじもじしている
もう少し経ってサード登場。同じく眠たそう


サード「お疲れ様でーす」[カバンをそっと置く。女の子座りで客席凝視]

12「おーっす/おつー」

サード [カバンをそっと置く。女の子座りで客席凝視]


三人、ソワソワしたまま時間が経つ


ファースト「・・・なぁ」

23「なに!?」

ファースト「今日の授業ずっと寝てたから後で教えてよ」

セカンド「俺もずっと寝てた」

サード「僕も」

ファースト「なんだよ、土日なにしてたんだよ」


セカンドとサードがその質問に対しソワソワする。ファーストも墓穴を掘ったと思いソワソワする
再び沈黙


ファースト「・・・なぁ」

23 「なに!?」

ファースト「台本・・・どぉ?」

セカンド「ファーストはどうなんだよ」

ファースト「俺はもう書けたよ」

セカンド「マジでか!」

ファースト「まあ土日あったしな。徹夜で書いたぜ」

セカンド「・・・実は俺も書いたんだ」

ファースト「え!」

サード「ぼ、僕も・・・」

ファースト「マジでか!くそ、俺が一番乗りだと思ったのに」

セカンド「ま、俺の台本に敵うわけないだろうがな」

サード「たかが二日で書き上げた台本になぜそこまで自信が出るんだ」


上手から女の子二人登場 (ドアの開く音)


ゆーな「おはようございまーす」

あいり「お、お疲れ様です」

123「来た!」

ファースト「いやぁー、ゆーなちゃん。待ってたよ。」

ゆーな「私ですか?」

セカンド「ちょっとこれを見てくれないか」

男三人、ゆーなに台本を渡す。

ゆーな「・・・台本?」

ファースト「そう、俺たちが書いたんだ。」

ゆーな「へー、見てもいいですか?」

ファースト「もちろん!それでだな、もし気に入ったのがあれば、今年の学校祭の発表はその台本を使おうかと思ってるんだが、どうかな。」

ゆーな「いいと思いますよ?」

ファースト「よし!じゃあちょっと読んでみてくれ」

ゆーな「はーい」

あいり「あ、あのー」

23「ん?」
愛莉「その、ゆーなちゃんに台本見せるにはあまりオススメできないんですが・・大丈夫ですか?」

サード「大丈夫っていうのは?」

愛莉「その、メンタル的に・・・」

セカンド「どゆこと?」

愛莉「そのー、ダメ出しがきついというか、なんというか・・・」


暗転 時間経過の効果音。台本をめくる音


ゆーな「な、なにこれ・・・」

セカンド「どうだった? 」

ゆーな「いやもう、どれもこれも・・・」

123「ん?」

ゆーな「死ぬほどつまんない」

123「え」

愛莉「あちゃー」
ゆーな「なんですかこれ、台本バカにしてるんですか?」

ファースト「いやいや、全くそんなことないよ」

ゆーな「正直、冒頭だけで読む気失せましたけどね」

セカンド「冒頭だけって・・・」

ゆーな「まず台本に必要な要素が3つとも欠けてるんですよ。」

サード「必要な要素?」

ゆーな「物語には目的が必要です。なるべくわかりやすい目的が。その中で主人公がいろんな障害を乗り越える過程を見てる人に楽しんでもらうんです。でもこの台本、ハラハラする障害がひとっつも無いんですよ。」

サード「そ、そうかなぁ・・・」

ゆーな「そうです。」

サード「は、はい」

ゆーな「そもそも、この台本ツッコミどころ多すぎ。」

ファースト「例えば?」

ゆーな [ファーストに指差し]「先輩の台本はものすごっくコテコテな内容なんですよ。」

ファースト「そ、そう?」

ゆーな「ちょっと台本読みしてください、私が修正入れてくんで。」

セカンド「台本読み?」

ゆーな「何か問題でも?」

セカンド「ないです・・」

ファースト「ヒロイン役はやってくれないの?」

ゆーな「あいりー、ちょっとこれ読んで。」

愛莉「わ、私!?」

ゆーな「高校の時よく私と台本読みしてくれたじゃん。そんなん感じでやってみて。」

愛莉「い、いいけど・・・」

セカンド「愛莉ちゃんが台本読み?」

サード「なんだか違和感ありますね。」

セカンド「そんなキャラって感じしねーもんな」

ゆーな「えーっと脇役は・・・、お父さん役にセカンド先輩。お母さん役にサード先輩で。」

サード「ぼ、僕お母さん役ですか・・・」

ゆーな「何か問題でも?」

サード「な、ないです。  僕先輩だよな・・・。」

ゆーな「はいじゃあ、準備はよろしいですか。」

123・あ「お願いしまーす」


ゆーな、手を叩く。 あいり、上手へ一旦はける


ファースト 俺の名前は龍ヶ崎 創、高校生だ。

ゆーな「いきなり名前を語らなーい」

ファースト「俺は小さい頃に母さんを亡くして以来ずっと父さんと暮らしている。でもそんなある日、父さんは藪から棒に再婚して新しい「母さん」を連れてきた。」

ゆーな「すぐに説明をしなーい。説明口調が一番嫌われるよー。」

セカンド「ごめんな、急に再婚なんかしちゃって」

ファースト「ほんと、勝手すぎだっつーの」

サード「(ピンポーン)あーもう荷物多すぎ。ちょっとこれ手伝ってー。」

あいり「・・・。」

サード「ほら、あんたも手伝ってよ。」

あいり「[上手から愛莉登場]ちょっとママ、再婚相手に子供がいるなんて聞いてないんだけど。しかも年も近いし。変なことされたらどうすんのよ。

ファースト「あぁ!? だれがお前みたいな貧乳女にへんなことするかよ!」
作品名:誰がために劇は成る 作家名:平塚 毅